【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス
第4章 エピローグ
ディスプレイを確認すると、困ったようなキャラのアイコンスタンプに続いて、礼之からメッセージが届いた。
『ゴム、1箱しか持ってきてないよ。足りるかな?』
『どうしてくれるの?まだバスの中なのに、さっきからジーンズ生地に股間が押さえつけられて、痛いんだけど』
予想外に明け透けな礼之の返事に、ユーリは些か拍子抜けしたように失笑を漏らす。
『俺に欲情してるのか?』
『…物凄く。あと10分くらいで停留所に着くよ』
『迎えに行くか?』
『今ユリを見たら、何処かの物陰や草むらに引きずり込んじゃいそうだから、大人しく待ってて』
『…全裸で?』
『脱がせたいから、是非着衣のままでお願いします』
本音が散りばめられた礼之のメッセージに、ユーリはクスクスと笑いながら、停留所からダーチャまでの道のりと住所を送る。
暫くの間、外からの鳥の声を除いて静まり返った部屋の中で待っていると、今度は電話が鳴った。
「…今、近くまで来てるよ。ブラウンブラックの壁の家?」
「ああ」
聴覚を擽る礼之の声に、ユーリの胸は再び高鳴り始めた。
メールの後、わざわざボタンの多いシャツに着替えたユーリは、スマホを傾けたまま移動する。
玄関横の窓から外を窺うと、見知った人影がこちらに近付いて来るのを確認した。
「お前の姿が見えた。鍵はかけてないから、呼び鈴鳴らさず入って来ていいぞ」
「今僕、扉を開けたら…そのまま君を滅茶苦茶にしてしまいそう」
必死に何かを堪えているような礼之の声に、自然とユーリの吐息も荒く湿り気を帯びてくる。
「…構わねぇよ。そうされる用意はできてる」
「本当に、いいの…?」
「2人で東京での続き、たっぷり…シような?」
言いながら舌を淫猥に鳴らせたユーリに、礼之は興奮を抑え切れない呼吸を繰り返すと、足早にユーリの待つダーチャの扉の前に立つ。
「開けるよ…ユリ…っ、僕、もう止めらんない…」
「止めなくていい…来いよ、今すぐ…来て…礼之っ…!」
スマホのスピーカーから断続的に響く礼之の息遣いに、ユーリも全身を震わせながら巻かれたストールを握り締める。
隔てた扉の向こうで、欲望剥き出しに互いを求める恋人の姿を想像すると、2人はたまらず喜悦の声を上げた。
─完─