• テキストサイズ

【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス

第4章 エピローグ


「このまま返したら、お前また独りでグダグダ悩んだ挙げ句、俺に合わせる顔がない~とか尻込みしそうだからな。次に会う時までの人質ならぬモノ質だ」
ストールを首にしっかり巻き直しながら、早足で出国ゲートへと向かうユーリに、礼之も足を急がせつつ後を追う。
「何それ。なら僕だって、このサングラス預かっとくからね。どうせ他にもスペア沢山持ってるんだから、良いでしょ?」
「それが一番の気に入りだ、バーカ。フレーム曲げんじゃねぇぞ」
「そっちこそ!僕もそれ、普段使いだけど結構お気に入りなんだからね!帰りの飛行機でヨダレ垂らさないでよ」
「誰がするか!国別出る出ないにしても、オフだからって気ぃ抜くんじゃねえぞ!じゃあな!」
別れのハグやキスどころか、まともに礼之の顔も見ないまま、ユーリの姿は慌ただしくゲートの向こうへと消えていく。
そんなユーリが去った後を暫し目で追いかけていた礼之だったが、
「素直に寂しいって言えよ、バカ。バレバレだっての…」
目尻に滲み始めた涙を隠すように、ユーリから預かったサングラスをかけると、踵を返して出口へと歩き始めた。

「Are you all right?」
保安検査場で手荷物をBOXに放り込んでいたユーリは、保安員に上着だけでなく首のストールも外すように指示され、それに手をかけた瞬間新たな涙が零れるのを覚えた。
ただならぬユーリの様子に保安員が声をかけてきたので、『ダイジョウブ。チョット、別れガ辛かったダケ』と小声の日本語で返す。
「…そうですか。大切な方だったのですね。その方もきっと今、貴方と同じように思っていますよ」
慰めのつもりか、先程より表情を和らげながら告げてきたその保安員に、ユーリは小さく頷きながらも、溢れ続ける涙を止める事はできなかった。

「やる気がないなら、今夜はもうやめにしますか?」
「すみません!気合い入れ直して来ますから、少しだけ時間を下さい!」
ベテランの名伯楽と呼ばれる礼之のコーチは、叱ったり咎めたりする時でも声を荒げる事はないが、逆にその静かな迫力は、喜怒哀楽がはっきりしている外国人コーチよりも怖ろしいものがあった。
コーチに頭を下げて一旦リンクから出た礼之は、物陰でスマホを取り出すと、練習直前に届いたユーリからのメッセージを読み返す。
/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp