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【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス

第4章 エピローグ


空港でかなり早目のチェックインを済ませたユーリは、カウンターで荷物を預けてから、礼之と空港内の施設を巡っていた。
「ちょっと多過ぎない?」
「少ねぇよりはいーんだよ。サユリが食べ切れなくても、どうせ『ヒゲ』さんやリンクの連中が食うだろ」
共通の知人で今回の恩人でもある純へのお礼を購入、配送の手続きをすると、休憩を挟んだ後で展望デッキへと移動する。
「お天気で良かったね。ここからピエタリまでは長丁場だから、気を付けて帰ってね」
「ピーテル、な。ま、殆ど寝てると思う。誰かさんのせいで疲れたし」
「えっ」
礼之のスオミ語にロシア語で返しながら、ユーリは晴れ渡った春の空を仰いだ。
「あっという間だったね」
大会から昨日までの出来事を振り返りながら、礼之はポツリと呟く。
「そうだな」
「だけど、次にユリに会うまでの時間は、あっという間にはならないのかな」
「国別で会えればすぐだけどな」
「ユリはともかく、僕は微妙だからね。会場的にも勝生さんと南さんが選ばれる可能性高いし。開催国の招待枠でEXにでも出られたら、まあラッキーって事で」
「…それでも会えたら良いな」
「うん…会えたら良いね」
互いにそう交わすと、暫し無言で滑走路の風景を眺め続ける。
その内に手持ち無沙汰になった礼之は、ジャージのポケット探ると、そこに入れっぱなしにしていた小さなチョコレートの包みを見つけた。
「どうした?あ、それ…」
見覚えのある包みを見たユーリは、無意識に顔を赤くさせる。
昨年のGPS日本大会で、アクシデントからユーリとキスをした礼之は、程なくして自分が選手としてだけでなく、個人としても彼を意識している事に気付いた。
大会後のバンケが行われたホテルのガーデンで、改めてユーリとキスを交わした礼之は、自分の行為を拒まなかったユーリの反応を見て、この想いを彼とも共有したいと、別れ際にキスチョコの包みを揃いで購入し、その内の1つを手渡したのである。
その後、何故か最後の1つを食べずに残していた2人は、ワールドの抽選会場で、互いにそれを渡そうとしていた事に酷く驚くと同時に、改めて自分の正直な気持ちを思い知らされたのだった。
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