【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス
第3章 Tokyo's Midnight
あの時は、とにかく一刻も早く股間の熱をどうにかしたかったのと、まさかあれだけ怯えていたユーリが、こちらに近付く事など考えてなかった礼之は、施錠を忘れていたのである。
(じゃあ、さっきのも幻聴じゃなくてユリ本人の声だったのか…)
妄想のユーリが切なげに自分の名を呼んでいた裏で、現実の恋人がかなり淫靡に同じ声を漏らしていたとは。
「…何だ。とっととドア開けてユリを引きずり込んじゃえば、一番手っ取り早かったんだ…」
心なしか落胆を帯びた礼之の明け透けな本音が、ベッドの上に空しく響く。
「もぉ、いいだろぉ…?ホントの事話したんだから、そろそろ許し…っ…ひっく…」
しゃくり上げる度、秘所に埋め込まれたままの礼之の指の感触が伝わり、ユーリは羞恥と異物感に表情を歪める。
自分に縋り付いたまますすり泣きを繰り返すユーリを見て、次第に頭が冷えてきた礼之は、ユーリのそこから指を引き抜きコンドームをダストBOXに捨てると、すっかりくたびれてしまっているプラチナブロンドの髪を撫ぜた。
「ゴメン…僕、焦り過ぎた。ユリは明日ロシアに帰っちゃうし、暫く会えなくなるから今夜しかないって、文字通り先走っちゃってたんだ」
いつもの礼之の優しい声を聞いて、ユーリは大きく息を吐くと、彼の肩口に額を乗せて新たな涙を零した。
「ただでさえ不安だったユリを、僕の身勝手から余計怖がらせる真似しちゃった…本当にゴメンなさい」
「…謝んなくていい。俺だってお前の気持ち考えないで、勝手な真似ばっかしたんだから」
「純さんからも、『自分の事ばかりじゃなくて、相手の事も考えろ』って言われてたのに…僕は未熟だ。やっぱり、扉の向こうのユリに気付かなくて良かったんだ」
「ユリも、初めての場所がバスルームなんて嫌でしょ?」と付け加えられて、思わず赤面する。
「でもお前、コレ…どうすんだ?」
ユーリの身体に濡れた先端を擦りつけながら主張を続けている礼之の男根を盗み見ながら、ユーリはしどろもどろに尋ねた。
「あー…うん、今度こそバスルームに鍵かけて」
「い、インサートは無理だけど!それ以外なら…お前が嫌じゃなければ、く、口とか…」
真っ赤になりながら自分の唇に指をあてるユーリに、礼之は一瞬だけ理性が大きく揺らぐのを覚えた。