• テキストサイズ

【イケメン王宮】花冠

第16章 -過去との再会






こっそり 部屋を抜け出して
ダンスホールに向かった。

ホールには、大きなグランドピアノがあって
とても 音の質がよくて
たまに 夜中 抜け出しては
弾いていた。

カタン…

指紋一つない
手入れされたピアノ
キチンと毎日磨かれている証拠…

ポーーーーン…

鍵盤を触れば優しい音が鳴る…
調律された音

座ってペダルを踏んで
高さを調節。
深呼吸してじっと鍵盤を見た

指ならしに
モーツァルトのきらきら星変奏曲

やっぱり 指が少し固くなってた
転んだりつっかえたり
すぐには、思うように動かなかったけど
温まってきたら
滑らかに動いた。


(うん、大丈夫そう…)

ドビュッシーの月の光…

(クスッ…今の私の心みたい…)

次々に弾いていく

ショパンのノクターン第9番

弾いていると思い出す
私がピアノを弾きながら
そばには、マリアがいたり

ゼノ様に弾いてほしいと言われ
弾いたこと

リストの愛の夢 第3番

ユーリに教えたこともあったな…

メンデルスゾーン 春の歌
エルガー 愛の挨拶

リスト ラ・カンパネラ
パッヘルベル カノン

弾くのに夢中になって注意されたこともあったな…

いろんなことを思い出して弾いてた
シュタインでの生活
ウィステリアに来てから
ここに来るまで
皆に出会えたこと

目を瞑っていたって弾けれる
だから気が付かなかった…

弾くのに夢中になって

誰かがダンスホールに入ってくるなんて
思ってもみなかった…

ショパン 仔犬のワルツ

クスクス笑いながら クルクル回って踊った…
『にぃちゃま…おどりまちょ…』


『--…おどれないだろー』

ポーーーーーン…


ハッ…


自分か奏でたものでない音と
『懐かしいような記憶』に
指を止めた

音の主を探すように
見上げれば 私のすぐ後ろにレオがいた

「こんな時間に、ピアノ?」

「え…あ、ぅん…」


『ーおにいちゃまわーピアノポンポンね?』


……--???


「セレネもアンタも…何してんの?」

違う方から聞こえる声…

振り向けばアラン…

不思議な感覚がして
口が勝手に動いてた

「…兄様は…セレネと踊りましょ……クルクルして…?」

「セレネは、ほんとに『仔犬のワルツ』が好きだね?俺ピアノ?」

微笑むレオ

/ 114ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp