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【イケメン王宮】花冠

第16章 -過去との再会







「…ぅん……。」

「セレネは、踊れないだろ…」

ダンスホールに来ていた真剣な顔と声のアランは、
ピアノの側まで来た。
心臓が小さく鼓動を早めた。

「踊れる…よ?……クルクル、して」

椅子から立ち上がってアランに近づき
差し出されたアランの両手をそっと握った…

ピアノに座るレオ
ひどく優しい 微笑み

「じゃ、アランの次…お兄ちゃまと踊ろうね?」

自然と涙が零れてた
レオから奏でられる ピアノは、『仔犬のワルツ』
優しい音色

手を取ったアランと踊る
『久々』のダンス
目の前には、優しい瞳の『兄』…

「…やっと思い出したか…」

踊りながらアランが言った。

「兄様…相変わらず踊りが上手なのね?」

「お前に散々、踊らされたからな」

フッと笑を零しながら向けられた笑顔は、昔とほとんど変わらない
優しい紅い目の兄だった。

忘れていた 淡い記憶。
紅い瞳の二人の兄

懐かしい思い出…

こんな幸せな時間
私は、忘れていたんだ…





レオとアランと沢山話をした。


過ごせなかった時間を取り戻すように
二人は、セレネに寄り添ってくれた。
その姿を皆がそっと見守った。

記憶を全てを思い出したわけじゃなかった。

お父様やお母様 なぜ私がシュタインに行ったかは、思い出せないままだったけど
無理に思い出す必要は無いと言われ

自然に任せようと言うことになった。

私の希望で両親の月命日に合わせ
両親のお墓にも連れていってもらった。
緑溢れる墓地
十字架の刻まれた真っ白のお墓の下に眠る両親…

普段は、レオとアラン二人揃って出かけるなんて
見たことがないけど「行きたい」って言ったら
両親の『三人離れないように』その言葉を思い出し三人の姿を見せようと二人とも付いてきてくれた。

両親が好きだったという
お花を買って

その日は、プリンセスになったばかりの頃と違って
若葉でなく
しっかりとした緑の香り


「…ここにお父様とお母様がいるのね…」

「…うん。」

「…忘れたりして、怒ってないかな?」

「二人とも、お前の事心配してたと思うし 変わらず抜けてんなって言ってんじゃね。」

「セレネが産まれて、母さん溺愛してたもんね。」

「父さんも大概だったろ…」

「そっか…そんなに可愛がられてたんだ。」




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