第16章 -過去との再会
レオがその後
「セレネちゃんごめん」
なんて言うから 一瞬キョトンとしたけど
その一言で全部分かった。
レオとアランが何を言いたいのか…
だから私は、伝えなきゃならない。
私が思っていること…
後悔しないために
「レオもアランも…謝らないで?」
「でも…」
眉根を寄せる アランと目を伏せるレオ
「私ね…自分がどれだけ弱い人間かよく分かった。
簡単に倒れるような弱い人間だって
でもね…それを認められだけの強さは、あるつもり。
今回のことで…自分がどれだけ恵まれているか よく分かった。
こうなったことは、レオやアランの責任じゃない。
きっと…誰の責任でもないの…
誰かのせいにするのは、簡単。
でも、それじゃダメだって分かった。
自分がどうだったのか まず知るべきだって…
私が飛び出したのは、私の責任。
『守る』って そう、言ってもらったのに
守られることを放棄して
守られる私が飛び出したんじゃ 守るものだって守れない。
当然のこと。
プリンセスを引き受けた私が それを投げ出して…逃げて
そんな私の帰りを皆が待っていてくれた…『おかえり』って言ってくれた
私…こんなに愛されてるんだね」
「お前…」
ふふっと泣き笑いになりながら続けた…
「生きていたら 傷つくのは、当たり前。
多かれ少なかれ、人は傷つきながら生きていくもの
傷が人を成長させてくれるから
傷つかずに成長なんてないもの…
後は、本人次第なんだと思う…
ついた傷が大きいと嘆いて 傷を隠して膿にするのか
傷を風に晒して瘡蓋にしながら 傷を薄くしていくのか…
ついた傷で誰かを守り癒すことも出来る。
でも、ついた傷で誰かを傷つけ血を流すことも出来る…
…私は、風に晒して薄くしたい…
ついた傷で誰かを守ることが出来るのなら…
プリンセスとしてもセレネとしても もっと成長したい。
この傷を無意味なものにしないために…
流した涙を無駄にしないように…」
ふぅと息をつきジルが言った
「貴女には、敵いません。もう、誰も文句のいいようのないプリンセスですね。」
ジルの言葉に深く頷く みんなとキョトンと首をかしげてしまったセレネ。