第15章 -払拭 [R-18]
公務を終え 小雨が降りしきる中 屋敷に戻ってきた。
セレネの部屋を見上げ 出かける時を思い出した。
(セレネ、空を見上げていた。すぐに見えなくなったけど…)
屋敷の中に入ると セレネの世話を任せているメイドがドタバタとかけてきた。
「ル、ルイ様!」
「どうしたの?」
「セレネ様が…」
セレネの言葉に異様に反応してしまう。
「湯浴みから出てこられなくて…何度もお声がけしたのですが…私、どうしたらいいのか…」
「…呼ぶまで、誰も彼女の部屋に入れないで…」
慌ててセレネの部屋に向かった。
メイドから彼女が頻繁に湯浴みをしている事は、聞いていた。
元々 お風呂が好きだった彼女だから 少しでも気分が晴れるように 花を浮かべたり 湯の色を変えさせたり 彼女に似合う香油を用意したりしていた。
コンコンコン!
「セレネ?」
からわず彼女の返事は、ない。
部屋に入り 浴室への扉まで行く
コンコンコン…
「セレネ?帰ってきたよ。」
声をかけるも返事は、帰ってこない
コンコンコン!
扉に耳を当て 音を聞いた
チャップン…お湯が跳ねる音がする
「セレネ入るよ!」
ガチャ!
セレネの返事も待たず扉を開けた
明かりもつけていない浴室、甘い香りが漂っている
目を凝らすと 湯船に立つセレネがいた。
右手がやけに動いていることに気がついて 慌てて近づくと
ゴシゴシゴシゴシ…ゴシゴシゴシゴシ
ゴシゴシ…ゴシゴシ…ゴシゴシ
ひたすら 布で肌を擦っていた
「セレネ!!!」
どれくらいさすり続けていのだろう…
セレネの首元から胸元まで 赤く擦れ、所々 薄ら血が滲んでいた。
服が揺れるのも構わず セレネの手を封じるように強く抱きしめると
「…は、なし…て…」
絞り出したような掠れた声
「いやだっ!」
「ぉね、がぃ…わ、たし…汚な、いの…」
小さいな小さな心の叫びの様なその言葉にハッとして弾かれるように顔を上げてセレネを見ると 大粒の涙をながしていた
彼女の口元も胸元のように 赤くなり血が滲んでいた…