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【イケメン王宮】花冠

第13章 -悪循環 [R-18]






御者が手綱を持った馬は、真っ白だった。



(…この馬って…)


見覚えのある馬。



セレネの馬は、彼女がとても可愛がっていて 色艶がいい。
鬣か自慢だって言っていて 言われた通り 艶々の鬣だった。
柔らかく優しい目をしていて。
セレネにピッタリだと思った。


今、使用人が手綱を持っている馬は、彼女の馬だ。


「…ちょっと待って…。」


「え?…ル、ルイ様?」


「…ランプ、貸して。」

御者からランプを受け取る。
ランプを近づければ やはり彼女の馬。


(何で…ここにいるの?…)


不思議で眉間に皺がよる。
御者も使用人も不思議そうな顔をしている。
彼女の馬は、王宮で大切にされていて セレネが一緒の時か係のものが連れ出さない限り 城から出ることは無い。



その馬がここに一頭でいるのは、明らかにおかしい。



どうしてここに…?そう考えていたら 足元に キラリと光るものを見つけた。


(…?)



ランプの光で光った物を拾えば 見覚えのある ネックレス。


ランプに更に近づける。


(このネックレス…セレネのだ…)


セレネがよく身に着けている シンプルなネックレス。
長めのチェーンになっていて どうして そのネックレスなのかと以前聞いたことがあった。


『このネックレスね、特別に作ってもらった物なのよ。この先端が小物入れになってるんだ。』


そう言っていた。
『特別』…作ってもらったものなら 二つとて同じものは、無いだろう。


(…やっぱり、先端が小物入れになってる…)


彼女の馬、彼女のネックレス…それが何故ここにある?
落とした? 馬を置いたまま?
護衛も付けずにプリンセスが?


嫌な予感がした。


背筋がゾクリとする様な。


確かこの当たりに一件のお屋敷がある。
息子が居たはずだ。

外に出ない事を 嘆いていた。


無意識に爪を噛んでいた。


「ルイ…様?…」


御者の声に目を上げると…


森の中に微かな光…なんだあれ?…


妙に音が大きくなった気がした。
あそこに彼女がいる!そう直感で思った時には、走り出していた。


「ルイ様!?」


「ついてこい!!!!」




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