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【イケメン王宮】花冠

第12章 -真実






レオの執務室にも書庫にもいないし アランも騎士宿舎にもお城の中にも居なくて 通りかかった 騎士の方に聞いたら ジルの執務室に行ったって聞いて クッキーをバスケットに入れて持っていった。


廊下の角を曲がったら レオもジルの執務室に入る所で 探していた 三人が見つかったのが嬉しくて 駆け出して 執務室が閉まる前に 扉に手をかけることが出来た。



声をかけようとしたら 中から聞こえてきた声に驚いて手を止めた。



「だから!どう 俺達のこと思い出してもらうってんだよ。」


強めの口調のアランにビックリした。


「…アラン。それが分かんないからこうやって話してるんでしょ?」


「記憶を失ってる以上 無理に思い出させるのは、負担がかかってしまいます。」


(…真剣な話?…立ち聞きなんてハシタナイ…)


音を立てないように 扉を静かに閉めて 行こうとしたら…


「セレネは、俺の妹だ。」


(…え…?)


自分の名前に手が止まった。


「アラン…俺達の妹でしょ?」


(セレネって…)


心臓がドクンドクン飛び跳ねて 金縛りにあったみたいに動けなかった。目の前がぐるぐる回って 音だけが異様に鮮明に聞こえた。


「誰が後ろ盾になってプリンセスを育てていたかも分かりませんし…」


「記憶が戻れば、その事だってセレネちゃんは、話してくれるでしょ。」


気がついた時には、駆け出してた。
心臓がさっきからドクドク鳴っていて 手足の感覚がない。
それでも 足を交互に出して 走ってはいたようだった。


苜蓿[うまごや]に行って 近くにあった鞍を乗せて飛び乗った。
ドレスのままで ブリティッシュスタイルでもなかったけど お構い無しに鐙[あふみ・足を乗せるところ]を踏んで 飛び出した。


門で何か言われた気がしたけど 聞いてる余裕なんてなかった。
どこに行くかなんて そんなの決めてもないし どこへ行けばいいのかも分からない。
でも、あの場にいたらダメになるって本能的に思ったんだと思う。
思うより…勝手に身体が動いてた…。


気がついた時には、大粒の涙が頬を伝っていた。
ドレスのまま ボロボロに泣いて なりふり構わないで飛び出して…
だから…後から付けられてるなんて気が付きもしなかった…


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