第12章 -真実
次の日、目が覚めた時 見慣れた天蓋があった。
どう 戻ってきたのか記憶がなく ボーッとしていた所にユーリが来て
「自分で戻ってきたの忘れたの?」
なんて笑いながら言うから キョトンとしてしまった。
どう戻ってきたのかは、覚えてないけれど 酷く幸せな夢を見たことは、覚えていた。
朝食もお兄様とルイと一緒に食べたり シュタインと交易が出来るとなって会議や城下の視察を行ったり 一緒の時間は、あっという間に過ぎてしまい。
シュタインに帰るお兄様を見送った時は、随分寂しい気持ちになった。
その後も お休みを貰いつつも サロンや乗馬 ダンス、知識を付けるために座学もマナーも何度もこなし シュタインのパーティーに呼ばれウィスタリアのプリンセスとして立ち振る舞い ユーリの手助けでこっそりマリアと会えたり 外交や視察も精力的に行って 少しだけ プリンセスらしく振る舞えるようになり
慌ただしくも充実した日を送っていた。
レオとアランは、兎に角 私に甘くて ジルが怒る位だった。
まるで、シュタインにいる時のゼノ様やアル、ユーリを思い出して クスクス笑ってしまった。
だから ルイの厳しい中の優しさがゼノ様によく似ていて ちょっとずつ惹かれていった。
言葉が多いわけでも無いけど 小さな優しさが心地よくって 偶に見せてくれる 笑顔が素敵で 孤児院やダンスレッスンの後 一緒にいることが多くなった。
知ってた?ルイってヴァニラが好きなんだって。
特にキャンディーが好きらしいの。
ふんわり 香ってきて 聞いたら 好きなんだって教えてくれた。
だから 次のダンスレッスンの後に食べてもらおうと思って 公務が早く終わった今日を狙って 騎士宿舎のキッチンで 薔薇のヴァニラクッキー作ることにした。キャンディーは、作れないけどね。
クッキーってどうしても沢山作れちゃう。
ジルは、甘いもの好きなの知ってたし アランもお料理上手で私負けちゃう程。
レオは、甘いものって感じじゃないけど 前にスノーボール作ったら 美味しいって食べてくれたから きっと食べてくれると思う。
だから お裾分けという名の 味見をしてもらおうと思って みんなの事探したけど 見つからなかった。