第11章 -自覚 [R-18]
「それに…セレネは、成長したのだな。」
ボロボロと泣いてしまった自分が恥ずかしく 顔をオズオズと上げると 至近距離に 優しい瞳があり 目尻を真っ赤にした自分が映っていて 恥ずかしさの余り 顔が熱くなるのを感じ 俯いてしまった。
「…おに…ゼノ様のお役に少しでも立ちたくて 私なりに頑張っています。」
「…セレネ様 貴女は、ずっと戦力でしたよ。」
「アルもたまには、いいこと言うね。」
ユーリが揶揄うように言うと
「貴様に言われたくは無い!!」
眼鏡をクイッと上げながらユーリを睨んだ。
昔と変わらないその姿を見て ゼノと顔を合わせて昔と同じように笑いあった。
「…もう、『お兄様』と呼んではくれないのだな。寂しくもあるがこれもまた良い…。」
ユーリとアルがゼノの言葉を聞き 口元に笑みを浮かべて 大きく頷いた。
「…だって、『お兄様』って呼びすぎたら 普段でも出てしまいそうだもの。」
「…そうか。それと プリンセスなのだから。もう その様な格好で出歩いたり 男に抱きつくな…。」
「…ほぇ?…」
チラリとセレネの洋服に視線を送られ 続いて自分も見る…。
ガウンの下は、ネグリジェでコルセットも付けていなくて 透けたりしていないけど 抱きついたら体の線が分かってしまう…
(………。わ、私この格好でアルに抱きついたの?!!!!)
「っ……!!!!」
真っ赤になると 同じようにアルまで顔を真っ赤にしていた。
恥ずかしくて顔を両手で包んだ。
「…アル、ずるっ、スケベだな…」
「っ…!うるさいぞ貴様!!!」
そんなやり取りをし 風邪の事や紅茶やドレス プリンセスになってからの事を暫く四人で話をした。
私の気持ち 何故プリンセスを引き受けたのか それを聞いて 納得してくれていた。
これから どうやってセレネを守るのかを話していると…
コクっ…コクっ……ポスッ。
「「「………。」」」
降りようとしても 降ろしてくれなかった ゼノの膝の上で 舟を漕いだかと思うと 肩にもたれかかって 寝てしまった。
ユーリは、何かを考えると…
「…セレネ様 今日いつもより忙しくずっと動いてたし さっき泣いて疲れたんだと思います。明日の朝迎えに来ますから ゼノ様お願いします。」
「…ああ、分かった。」