第11章 -自覚 [R-18]
人目を気にしながら手を引っ張り歩くユーリ。何となく声をかけられずに黙って着いて行ったら ピタリとドアの前で止まりノックをした。
(…ここって…。)
ドアを開け中に入ると そこは、客室で 広いお部屋に大きなベッド 小ぶりだけれど品の良いシャンデリア 大きな窓は、開いていて 夜空に星が瞬いているのが見える。夜風がそよそよ 部屋に入りベルベットのカーテンを揺らしていた。
「…貴様!!何を考えているんだ!」
声の主は、アルバートでユーリを殴ろうとしていた。
「--!!!!アル辞めて!!!」
咄嗟に アルバートに抱きついた。
「ごめんなさいっ!私が悪いの!!!ユーリを責めないで?!」
「っ…!セレネ様…。」
「わ、私が勝手な行動したから…ユーリは、守ってくれていたの!だから…だから…お願い、殴るなら私にして…」
涙が溢れる事もそのままに殴られる覚悟でアルを見上げた。
「ぅ…セレネ様を殴るなんて…そんな事…」
アルは、パーティーの時と同じように目を合わせたかと思うとまたも 視線を逸らした。
「……出来ないだろうな。殴っていたら俺がお前を殺すところだ。」
アルの後から声がする。その声がアルバートの横まで来ると 私の頭をクシャッと撫でた。
「…っ…。お兄様!!!!!」
抱きしめて欲しくて 抱きしめたくて 仕方なかった人。
周りの目を気にしなくても今ここでならやっと飛びつくことが出来る人。ギュッと抱きつき 胸に頬を寄せた擦り寄った。
「やっとお前に堂々と触れられるな。」
「お、兄様…ご、めんなさ…ぃ…わ、私…」
涙が後から後から溢れてきて ゼノの洋服を濡らしていく。 頭の上で微笑む吐息が聞こえた。 上手く言葉が出てこないセレネの膝裏に手を入れ抱き上げると ゼノは、ソファーに座り自分の膝の上にセレネを乗せた。
泣き止まないセレネを宥めるように 背中を摩り続けながら
「セレネ 落ち着け。アルもだ。…ユーリ話してくれるな?」
「…はい。ゼノ様…」
ゼノは、セレネを膝に乗せたまま 今まで起きたことをユーリの口から聞いた。
「ゼノ様…申し訳ありませんっ!」
「…いや、起きてしまったことは、仕方ない。」