第8章 -ダンスレッスン
優雅にダンスをするルイとセレネ。
レッスンが始まってすぐ 鳴り始めた音楽は、今も流れていて
笑顔で踊るセレネ、ダンスに厳しいルイが褒めた事 …
大抵の事に驚かない自信があるジルだが 今回ばかりは、そうもいかなかった。
セレネと出会って驚く事の連続なのだから。
(稀有な人を見つけてしまったようですね…目は、曇ってなかったようです。)
セレネは、原石と同じ磨けば、さらに輝気を増す。
今現在でこの輝きだ プリンセスとして磨けば更にだろう。
出会ってすぐ存在感に圧倒され『氷の人形』と言われた ハワード卿と話 惹き付け 優雅な立ち振る舞いをし プリンセスとして 既に一歩を踏み出した目の前の少女の様な女性。
(プリンセスのお相手になりたいという方は、引く手数多でしょう…問題は、セレネが誰を選ぶか…ですね。警護が大変になりそうですが…王宮専属騎士団長とレオの妹ですから何かあれば彼らが黙ってないでしょうね。どうやら ハワード卿も惹き付けた様ですし 私もいます…クスッ…何としてでも守って差し上げますよ。)
ルイとセレネが休憩を終え レッスンを再開し 気が付くと アランが ダンスホールの入口で 踊る二人の様子を壁に凭れかかり見ていた。
クルクル回る満面の笑みのセレネ その姿がまだ 昔を思い起こさせた。
キャー!!キャッキャッ!!!
アランとレオの手を引っ張り走るセレネ。
ピアノのあるお部屋まで来ると レオの手を離し
『おにぃちゃま ピアノポンポンしてくれりゅ?わんわんのワルチュがいいの!』
『セレネは、子犬のワルツすきだね 俺ピアノ?』
うん!と笑うと アランの両手をとって向き合い
『にぃちゃまわーセレネとおどりまちょ?』
『セレネ踊れないだろー』
『おどれるのもん!クルクルするのよ?』
『じゃっ!アランの次 おにぃちゃまと踊ろうね』
そう言い レオのピアノに合わせでクルクルクルクル回るだけのダンスをした。
向日葵のように笑い三人で声を出し笑いながら踊った。
(…笑った顔は、あの時のままだな…随分綺麗になっちまって…)
フッと優しい口元を緩めると 目を細め セレネを眩しそうに見た…