第7章 -確信
「そういう事。」
「この事は、レオとアラン殿しか知らない事なんですか?」
「今現時点では。唯、セレネを連れ去った乳母は知ってたよ。本人に伝えているかそこまでは知らないけど…」
「……。壇上での感じでは、変わっている事も知らなそうだったけどな」
「私の場所からは、死角になっていて 瞳の色を見る事は、出来ませんでしたね。でも、お二人は確認してるんですよね?
ハワード卿も見ている可能性が高いでしょうね。…あの時の広間の感じですと 他の方が気がついたというのは、無さそうでしたが…。」
「ああ…」
アランが溜息を漏らした。
「俺が兄だってことも覚えてねえみてーだし。」
今度は、アランが足を投げ出し腕を組んだまま 目を閉じて上を向いた。アラン《俺達》だろ?と言うレオの投げ掛けにどうでもいいだろ。と素っ気ないアランの返事。
「それと…セレネのあの挨拶…」
「完璧だったね…」
「ええ…お世話をしてくれた方が教えてくれた…と仰ってましたね…。」
「嘘をついてる感じは、しなかったけど…ジルは、どう?」
しませんでした。と答えれば…
「…終わった後、あいつ 椅子に座ってただろ…気配消して後ろで護衛してたの気がついてた…後ろ振り向いてもいねえのに…しかも、帰ろうとしてた女達があいつに挨拶に来てて 止めようとしたら…後ろ手て静止してきたぞ…」
「え…」
「つまり…護衛を付けられるような方に教えて貰っていた…ということになりますね。」
「…ここまで隠し通せる人物…ウィスタリアにそんな貴族いるかな?…そんなの居たら ルイが分かりそうなものだけど…」
「クロフォード家の娘の事は、ハワード卿も知っていますし 探して下さってもいるようですから 隠し通すのは、難しいでしょうね…」
「…あいつは、俺達の事を覚えていないが妹である事には、間違いない。 どこで何して今まで居たのかも分からないが ウィスタリアのプリンセスになったんだ。王宮にずっといる訳だし 時間もある
生きてるのかも分からず探してた事を考えれば進歩だろ。ゆっくりと聞き出す 今度こそ…命に変えても守ってみせる…」
アランの言葉にレオもジルも「必ず」と言い頷いた。
その瞳には、三人とも 決意の色が浮かんでいた…