第2章 -新しい日々
---シュタイン…
ドカッ
「…ぅっ…お…辞めくださぃ!子供に何もしないで下さい…」
「黙れ!
……へぇー、上玉じゃねーか。そんな身なりのババァにゃ勿体無い娘じゃねーか。へへ(こいつは、高く売れそうだ)」
人々が行き交う街の中、綺麗な身なりの貴族に歯向かう平民は、いない。
しかも 相手は、女子供にも手を出すような輩だ。
手を出したところで自分が痛い目に遭う。
今のこの国では、人の売買も無くなっておらず
悪政は、城下にも悪い影響しか出ておらず 荒んでいるのが現状だ…
「………。ユーリ」
「はーい!ゼノ様」
城下の状態を知るためアルバート、ユーリを連れ 視察に着ていたゼノがそのやり取りをじっとみていた。
王子だが塔からでて行く月も経っていないし 国民に顔を見せていないゼノは、城下に来ていても堂々としたものだった。
「ハイハイお兄さーん?女性と子供に手出しって褒められないよねー?しかもさ、人身売買ってどういうこと?」
ニッコリと笑いながらもユーリは、男の腕を背中に回し締め上げた。
「貴様なにをっ…うぁっ…ぐっ…」
ギリギリと腕を後ろ手に固め男の耳に「こんな事、騎士団にバレたら、あんた首飛ぶよ?どこで見られていてもおかしくはないからね」なとど優しい声色で脅し囁けば
「ひっ…」と顔を青くしていた。
アルバートも近づき男の身元を吐かせ 次は、無い。と言えば
こんな事二度とすることはないだろう。
離された子供を体を引きずりながら女性が抱きすくめ安堵からか泣いていた。
「セレネ様…どこも…お怪我は、ないですか?」
まだ、六つも行かないくらいの子供は、どこを見ているのか分からないが 小さく頷いた。
女性や周りを見れば、どれ程怖かったのか想像がつきそうだ。
が…子供は、泣くこともせず 恐怖に表情を変えることもせずにいるのだ。
その子供がとても自分に似ている気がしてゼノは、じっと観ていた。
真っ白の肌にほんのりピンクの頬、ダークブルーのくりくりした大きな瞳は、どこを見ているか分からない。
元々は、艶々のフワフワしていたであろう髪。
汚れては、いるものの とても上品な装い…貴族の娘だろう事をうかがわせた。