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【イケメン王宮】花冠

第5章 -決意







聞かれて当然の事だったが
一番答えにくい質問でもあった…はぐらかしたい気持ちがあったが こればかりは、避けて通れぬ事も分かっているつもりだった。
自分が《プリンセス》として大広間で挨拶した。
ジルにもレオにもアランにもこれからよろしくお願いします。とも言った。



でも、引き受けてしまっていいの?
引き受けたら…簡単に撤回出来ないこともわかっている。
国に関わる事だ。
兄であるゼノの心構えや覚悟も見てきたつもりだ。
だからこそ 簡単に「はい」等と言っていいのだろうか?



ここで聞かれるまで ずっと考えていた。
私にその覚悟があるのか…引き受けてしまっていいのか…



引き受けて お兄様に迷惑をかけたりしない?
そもそも【シュタイン国王ゼノの妹】と言えるわけが無い。
かと言って お兄様やアル達に隠し通せることでもない。
そんな事 分かっていたのに 何であの場で挨拶なんてしてしまったの?


仕方なく?…ううん…言った言葉は、嘘ではない。
やるのなら 私の全てで全うしなければならない事。
途中で投げ出すなんて許されない事。
私はどうしたいの?



これからも お兄様のお荷物でいるの?



お兄様やアルたちが私の存在を公にしてない事は、知っていた。
国外のお城に行ったこともない 堂々とパーティに出たことも無い。
生活の場は、シュタイン城で 外に出る事もほとんど無かった。
偶に 視察について行っていたけれど 毎回連れて行って貰える訳じゃなかった。
マリアとこっそり出ることはあっても 見つかれば お兄様怒っていたし 許可があっても アルかユーリは、必ず居た。
でも、自由にさせてもらえてない訳でもなかった。



私には、幼い頃の記憶が無い。気にもしていなかったけれど たまたま、メイドが自分の親の事を話しているのが聞こえて ふと、気になって思い出そうとしたけど 出てこなかった。
二、三年前に気がついたことだった。
お父様やお母様もいない。
お兄様に聞いたら困った顔をしながら「お前と二人だけだ」と言っていた。


これ以上聞いたらダメな気がして…ううん、きっと聞いても答えてくださらなかったと思う…
それにあの時 お兄様 とても苦しそうだった…
アルもユーリも珍しく私の目を見てくれなかった…


聞いちゃダメなことなんだなって…そう思った…


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