第5章 -決意
ジルも反応を見ようとわざと クロフォードの名を出したのだろう。
「さあ こんな所で話さず 執務室に参りますよ。全員いらしてください。レオも呼ぶつもりで居ましたので手間が省けました。」
廊下で話していたことに気が付き
ジルに言われるがまま 執務室までついて行った。
行方不明の妹であるか確かめる為もジルの中では、あったのだが
唯単に 必要だからという理由でもあった。
執務室に着くとソファへと促し 話を始めた。
公務や視察のこと これからプリンセスとして堂々と人と接することができるようジルを始め レオ、アラン、ルイから教わる事。1ヶ月後には、プリンセスお披露目のパーティが開かれる為 暫くは、ダンスレッスンが主になること。
ただ、セレネの能力に伴わせ どの レッスンや座学が主になるかは、分からない。
「…ですが 一番は、次期国王を選んでいただくことです。公務やダンス、乗馬これから貴女が覚えることは、全て次期国王選びに結びつくことだと思ってください。急がせるつもりはありませんが 現国王であられる陛下のお加減が思わしくありません。その事を頭の隅でいいので入れておいて下さい。
何かあれば私や王宮にいる者に伝えて頂ければ対処いたします。」
一度に伝えてもすべてを覚えるのは、無理だと分かっているので
重要な部分だけを伝えた。
「それで…ですが今度は、貴女のことについてお聞きしたいと思うのですがよろしいでしょうか?」
ジルの顔を見た後 俯くと覚悟を決めたのかはたまた、諦めたのか小さく頷いた。
「クスッ…大丈夫ですよ。とって食おうって訳では無いですし、答えにくいところは、無理に答える必要は、ありません。
ただ、プリンセスについてこちらとしても知っておかなきゃならないことが有りますので 答えられる範囲内で仰っていただだければよろしいですよ。」
かなり強く追求されると思っていたのか ジルの言葉にホッと肩の力が抜けたのがわかった。
「まず、セレネのご返答を聞いている限り プリンセスの任を正式にお引き受けして頂けるととってもよろしいですね?」
当然だ。彼女が引き受けてくれなければ何も始まらないのだから…