第5章 -決意
マリアにも聞けなかった。
気がついた時には、マリアがそばにいた。
お兄様たちが仕事でいなくても マリアは、常にそばに居てくれた。
マリアに家族がいたことも知ってた。
でも、甘えてばかりで…きっとマリアだって家族と過ごしたかったよね…そんな気遣いすら私できてなかったんだ…
本当にたまに お宿下りをする事は、あったけれど それ以外は、私と一緒にいてくれた。
あ……私、一人になったこと無いんだ……
常に誰かがそばに居てくれた。
お仕事のお手伝いさせてくれることもあったけど…無理にさせられることなんて一度もなかった。
私…独り立ちも出来ていなかったんだ…
一人前のつもりでいたけど…
何一つひとりじゃ出来ていなかったんだ…
そう思ったら涙が溢れてきた…でも、ここでは泣けない。
ぐっと唇を噛んで耐えた。
私…このまま ずっと、独り立ち出来ないままでいいの?
そうじゃないよね?
私がしたいこと…それは…なに?
それを 私は、自分で見つけなくちゃダメなんだ…
私の人生だもの…自分で決めなくちゃ…
「…ジル?」
「はい、なんですか?」
ジルの透き通った眼は、柔らかく微笑んでいて
全て見透かされているような気がした。
もう少しだけ…私のわがままに付き合ってくださいますか?
「私は、まだまだ 独り立ちも出来ないような甘ちゃんですが…それでも…誰かの為に私ができることは、あるでしょうか?」
「……それを お手伝いするのが 私たちの役目ですよ。
貴女が胸を張って歩けるように セレネがセレネらしく居られるように 心配することは、ありませんよ。」
涙が出そうだった。
誰かの為に何か出来るのなら…私は、私らしく前を向いて進もう…
「もう一度聞きます。セレネ、ウィスタリアのプリンセスになっていただけますか?」
「…はい。精一杯頑張りますので よろしくお願いします。」
ジルは、いい笑顔ですね。と微笑んでくれていた。
横にいたレオは、クシャと頭を撫でくれ アランは、「必ず守ってやるから安心しろ」と言ってくれた。
お兄様…甘ちゃんな妹だけれど 勝手してしまうけれど セレネは、少し大人になる為に 一歩、足を踏み出します。
応援して下さいますか?