第4章 -プリンセス選考会
通された一室には、メイドと思われる女性が二人おり。
手を洗わせてくれると 汚れてしまったドレスの代わりにと ラベンダーカラーのエンパイアが用意されていた。
(あ、エンパイア…私の持っているのとは、デザインが違って可愛い…
お借りして、後日お返しすればいいかな?…)
と、かなり気楽な考えでいた。
ドレスを着終わると 髪をセットしてくれようとしていたメイドさんに丁寧に断り、自分でサッと簡単に出来るドレスに似合うヘアスタイルに整えた。
右耳のピアスを見られてはダメだと言い聞かせられていたからだ。
見られては、ダメなら取ればいいのに…と思っていたが かなり小粒で傍目には、分からないのもあり そのまま言われたとおりにしていた。どうしても…の時は、こっそり外してピアスを入れるように造られたネックレスの中に入れていた。見えない位置にピアスがあるのは、いいのだけど 寝る時に当たってしまい痛いと訴えた時に困りながらも考えゼノが用意してくれたものだった。
ピアスの事を知っているのも 兄のゼノ、アルバートとユーリ、マリアだけだった。
姿見の鏡で全身をチェックしていると コンコンコンと部屋をノックする音。
「はい」
返事をすると静かにメイドがドアを開け ジルが入ってきた。
暫し セレネをじっと見ると ニコリと優雅な笑顔。
「大変お似合いです」と言われればこちらもニコリと笑顔に
少し失礼します。と言われ付けられたのは、チョーカー。
すると 参りましょう。と言われまたもエスコートされた。
連れられたのは、先程の大広間。
ジルが大広間に入ると それまで賑やかだった会場が静かになった。
(………???………み、見られてる?…)
広間にいた人の視線が自分に向けられていることに気が付き戸惑った。数秒全く音がしなくなった気がしたのも束の間、パチパチパチと拍手が鳴り出した。
肩を落としているような女性もいる…頭の中は、?マークが飛び交っていた。
頭の上からクスッと笑う声がした気がしてエスコートしてくれているジルを見上げると 柔らかい笑顔を向けながらこちらにどうぞ。とさらに手を引かれた。
段になった場所をドレスを摘み上がり 一番上に立つと大広間にいる方の顔が見える。
視線は、当然私に注がれていた。
何が起こっているの………???