第4章 -プリンセス選考会
(おや?…なるほど…大広間から出られたのですね、しかも…あの『氷の人形』と言われるハワード卿と笑顔で話されるとは…クスッ…
それに今頃、レオとアラン殿も見ているはず…)
ジルは、二人の様子を執務室の窓から見ていた。
ジルから妹によく似た女性をお城にお連れした。と聞き レオは、大広間に来ていた。
(ふぅ…こんなうまいタイミングでセレネが?…もう、何年も探したのに見つからなかったあの子が…でも、ジルがガセ情報を持ってくるとも思えない…で、我が妹?は何処だ…)
人気の高いレオの周りには、着飾った女性たちが胸を押し付けたり 香水をむせ返るほどつけ、集まっていた。
その女性達に笑顔を振りまきながら セレネと思わしき女性がいないことを確認し大広間を後にし キョロキョロと城の中を探していると
壁に左肩を凭れ 身を隠しながら何かを見ているアランに会った。
アランは、横目でレオがいることを確認すると左手親指で中庭を指し妹と思わしき女性が居ることを合図した。
普段仲が悪く見える二人だが…妹の事だけは、情報交換をしていた。
「…あの子がセレネによく似ている子ね…ふぅん…ルイと笑顔で話す子、初めて見たよ。ルイも話しかけてるね…」
「あんた煩い…」
「で、…アランは、どう思う?…」
「…もう、十数年も前だから何とも言えねーけど…似てると思う…」
アランの答えを聞いて 目を細めながらじっと中庭の女性を見つめ レオも同じくと呟いた。
周りのそんな行動も全く気付かず セレネは、ルイと話し終え 花冠造りに熱中していた。
(うん!上手に出来た!)
出来上がった花冠に満足し頭に乗せ立ち上がりポンポンとドレスについた葉を落としていると背中から声がした。
「こちらにいらしたんですね。…おや?…花冠ですか、お造りするのがお上手ですね。とても似合っておいでですよ。」
振り向けば 笑顔のジルがいた。
『似合っている』の言葉に嬉しくて笑顔を向けると
「おや、手と裾が少し汚れてしまってますね…こちらにどうぞ」
「あ、本当だ…」
夢中で作っていたからか指先が緑色になっていた。
またも 笑顔のジルエスコートされここで 係のものが手伝うからと言われ一室に通された。