第17章 -揺れる気持ち
アランは、デート公務の時オリバーがセレネに本気だと気がついていたが
セレネの様子から察しても オリバーの穏やかで大人しそうな性格からも ないと思っていたが
突然訪問するという 行動に 驚きを隠せなかったのだ。
「良かった…。」
「ぷっ…セレネ様も随分シスコンの兄上をお持ちだなあ。」
「それ、ユーリがいうか?」
「俺たちに負けず劣らず過保護でシスコンなのは、ユーリも同じでしょ?」
「あ、バレました?」
「そりゃあ…シュタインからウィスタリアにきて副騎士団長やってた人が プリンセスの専属執事して 俺たちに黙ってまで ずっと守り続けて わかった今でも セレネちゃんにくっついて、今日の突然の訪問だって ずーーっと影から様子伺ってたんでしょ?」
「レオ様、その台詞 よく一呼吸で言えましたね?…ま、そうなんですけどね。…ずっと 可愛くて大切で傷つかない様に守ってきましたから…。」
「俺達がいない間、妹を守ってくれてありがとう…」
「レオ様にお礼を言われる筋合いありませんよ。(ニッコリ)お二人の実の妹であっても、俺にとって紛れも無く大切な女性なのは変わりませんから。」
「…お前、可愛い顔して毒吐くのな?」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。」
セレネ様に来客があるって聞いて ずっと見張ってたさ!
あんなことがあったんだ…ずっと ずっと、危険な目に合わないようにって 皆で守り続けてきたのに あの時、守ってあげられなかった…。
セレネ様は、ああ言ってたけど 自分を責めないわけがない。
守れる立場にいたのに あんな怖い目に合わせてしまった。
出生の秘密が分かって 血の繋がった兄弟が現れようと
『じゃあ、今日で兄やめます』なんて言えるわけがない!
セレネ様へこの気持ちを伝える事も言うつもりも無いけど その代わり 今もこれからも一番近くで守る権利だって奪わせるつもりだってないんだ。
だから 自分の事がウィスタリアに分かったって 残してもらえるようゼノ様にもジル様にも掛け合って認めてもらったんだ。
あの時のゼノ様の悲痛な顔が忘れられない。
顔に感情を出すことのない方だけど あの時は、取り乱していた。
セレネ様の状況を知って 怒りの矛先がなくて 手を握りすぎて爪がくい込んで 血を流していた。