第17章 -揺れる気持ち
部屋に来た私に気がついて
椅子から立ち上がると挨拶してくださった。
「プリンセス、突然の訪問申し訳ありません。」
「いえ…オリバー様、お久しぶりです。」
オリバー様は、とても素敵な笑顔で 私を見ていて
突然の訪問で驚いていた私は、キョトンとしてしまった。
「『どうしてここに』…そんなお顔をされていますね。」
「あ、いえ、あの…今日は?…」
思っていたことを当てられて 気まずくて 視線を外しながら 言葉尻を濁した。
「まだ公務が残っておいてでですか?」
「いえ…今日は、比較的ゆったり出来るので…」
そう言うと とても爽やかな笑顔を向けられ 「少し時間をもらいたい」と言われた。
庭に出て話をすることになり 何となく 人一人分の距離を開けて歩いていた。
お城に突然こられた理由がわからず頭の中は、?マークばかりで 様子を伺おうと チラリと視線を向ければ目が合う…
「…理由も告げず 押しかけてしまい申し訳ありません。お会い出来ない覚悟で来たのですが 思いがけずお時間をいただけて嬉しいです。」
「いえ、本当に今日は、たまたま空いていたので…」
「前回、プリンセスと話をして もっと話せたらと思っていたんです。」
「そうですか…」
「噂に聞いていましたが、直接話して とてもしっかりした素敵な方だと…公務を休む暇もあまり無いと伺っていて、ダメ元で来たんです。」
話の軸が見えなくてなんて返答したらいいのか分からない。
曖昧に答えながら 話をしていた。
「…ご兄弟がいらっしゃると仰ってましたよね?」
「ええ、兄がおります。」
「こんなに素敵な妹をお持ちだと、兄上もご心配でしょうね。仲はよろしいんですか?」
「…はい。大切にされてます…過保護なくらいに。」
パッと浮かび上がった兄。
ずっと疑問符ばかり浮かんでいた頭だったけれど
兄の話題に少しだけ 楽しくなれた。
「…こんな妹がいたら…手放せないでしょうね…」
「どうでしょうか…そんな事を考えたことがないので、今度聞いてみますね?」
「………。プリンセスには、既に心に決めた方がいるのですか?」
「え…?」
「実は…何度もパーティで貴女を見かけていて、デートできた時は、本当に嬉しくて…。一目惚れなんです…。心に決めた方がいないのなら、僕を見てはくれないでしょうか?」