第15章 shine of the palm
一「それだけ普段から七瀬さんがいろいろとやらかしてくれている、という事ですが・・・なにか?」
陸「くっそぅ・・・なにも言い返せない自分が悲しい」
七瀬さん・・・そこについては私も同類です。
一織さんが七瀬さんと話しているうちに、受け取ったジャケットに袖を通せば、寮で使っている柔軟剤の香りがふわりと漂った。
『もしかして一織さん、このジャケット自分で洗ってるんですか?』
一「えぇ、そうですけど。それくらいの物ならわざわざクリーニングに出す程でもないし、きちんと表示を見て洗えばなんて事ないですからね。学校の制服だって、今は家庭で洗えますから」
学生服を、家庭で洗えるの?!
そんなの知らなかったよ?!
世の中の進歩って凄い・・・っていうよりも、和泉兄弟のそういう所、見習わないといけない気がする。
・・・私は特に。
料理以外の家事は大丈夫!とか胸張ってたのが恥ずかしいよ。
料理こそ、頑張らなきゃなんだけどね・・・寮で女子は私だけなんだし。
しばらくはスケジュール埋まりそうもないし、いっそ社長にお願いして料理教室に通わせて貰うっていう手も・・・なくはないかも?
いやいや、ないなそれは。
姉鷺さんや龍が教えてくれようとはしてたんだけど、いざ始めてみれば、最終的には必要だったら自分が作ってあげるから・・・なんて言って、さり気なくキッチンの出禁を食らってしまったし。
・・・三月さんにも、似たようなこと言われたし。
千くらいかも、キッチン入ってもなにも言わないのは。
ただ、なにも言わない代わりに調理って所まで来るとクッキングヒーターの主のようにその場から離れないけど。
後は僕がやるから見てて?とか。
あれ?よく考えたら千のそれも、みんなと言い回しが違うだけで同じ?
特に千の場合は・・・
千「愛聖が料理出来なくても、僕が一生・・・毎日食べさせてあげるから」
・・・とか、エプロン姿でお鍋クルクルかき混ぜながら微笑んでたりするけど。
Re:valeが地方公演の時はどうするんだろ?
じゃなくて、そもそもなんでその千の妄想に私も乗っかっちゃってるの?!
ないない、千のご飯は美味しいけど毎日はない。
だってお肉食べたいし。
せめて、いつか誰かと結婚するくらいまでには、料理出来るようになっておかないとだよ!