第15章 shine of the palm
『結婚って、なんだか大変だ・・・』
「「 はいっっっ?! 」」
現実とかけ離れた呟きが漏れてしまい、みんなが驚きの声を出す。
『あ、いえ・・・ちょっといろいろと考え事してて』
一「なにを七瀬さんみたいにおかしな事を言い出したのかと思ったら・・・今日は私たちのサブマネなのでしょう?しっかりと現実に戻って来て下さい」
陸「だから!なんでオレなんだよ!」
一「心当たりがない訳ではないでしょう?」
陸「っかぁぁぁぁぁ!ホンット一織はかわいくないぞ!」
一「それはどうも。私にかわいい事は必要ありませんからね」
ツン、と横を向いた一織さんに思わず笑ってしまう。
『一織さんの、そういう所がファンの女の子には堪らないツボでもあるのかも知れませんね?本当はカワイイも、』
一「佐伯さん?」
実はそんな一織さんは可愛いものが好き・・・と言いかけたところで、一織さんがすかさず言葉を遮る。
『えっと、か、カワイイ物とか好きだったりしたら、私と似てるなぁとか』
一「佐伯さんに似てると言われたら、何かメリットがあるんですか?」
『・・・ですよねぇ』
アハハ・・・と乾いた笑いで誤魔化して、ひとたびみんなを見る。
『二階堂さんと紡さんが待ってますから、楽屋に戻りましょうか。本番に備えて、いまのリハを思い出しながら気持ちを整える時間も必要だから』
ゆるっと大きめなジャケットの合わせを深くして、通路をまた歩き出す。
二階堂さんの代わりにステージのリハはしたけど、その感想をちゃんと伝え切らなきゃ!と気合いも入れ直し、アイドリッシュセブンの楽屋までを進んだ。