第15章 shine of the palm
二階堂さんの代役、なんとか失敗なく出来て良かった・・・
照らされ続けたライトの熱がまだ発散されずに、じわりと浮かぶ額の汗を手の甲で拭う。
まさかサブマネとして同行して、こんな汗だくになるとは予想してなかったよ。
普段の仕事なら、何かあった時の為に着替えは持ち歩いてはいるけど、今日は自分の仕事じゃないから荷物減らしてたし。
とは言っても、着替えがないだけで対策用品は持ってるから、せめてそれだけでも楽屋戻ったら何とかするしかないよね。
環「なぁ、マリー。ちょい楽屋までダッシュ出来る?」
スタジオを出てからずっと並んで歩いていた四葉さんが、ふと足を止めた。
『ダッシュって、急ぎの用でもありましたっけ?』
環「俺じゃなくて、用事はマリーの方っつうか、それ・・・ヤバいっしょ」
『あの、四葉さんの言ってる意味がいまいち分からな・・・うわっ!』
足を止めたまま四葉さんが指さした私を自分で見れば、それはダッシュしないとダメじゃない?!という状況になっていて、隠せるところを隠しながらしゃがみ込む。
三「あんまり通路で騒ぐなよ?大和さんが、いないからってダメだ・・・ぞ・・・う、うわぁ愛聖?!」
私の声に振り返った三月さんがその姿を見て、更に大きな声を上げた。
『み、三月さん!しーっ!静かに!』
そう言った私の声も意外と大きかったようで。
ナ「Oh!マリー・・・ブルーのランジェリーがとてもSexyデスネ・・・」
い、色までみんなに気付かれた・・・
三「ナギ!いちいち言葉にすんな!・・・けど、そのまんまじゃ困るだろ?」
壮「もう少しで楽屋ではあるけど、女性をその姿で歩かせるのは・・・」
みんなが私から視線を外しながらも、口々に困った様子を伺わせる。
一「全くあなたと言う人は・・・応急処置程度にしかなりませんが、これを着て下さい。サイズは大きいかも知れませんが、そこは我慢して貰うしかないでしょう」
あからさまな大きなため息を吐きながらも、一織さんが自分のジャケットをサッと脱いで私の前に立つ。
一「佐伯さん、私が壁になっているうちに」
『何から何まで・・・本当にすみません』
一「気にしなくていいですよ。これくらいの事なんて、七瀬さんので慣れっこですからね」
陸「なんでオレだけ名指しなんだよ!」