第15章 shine of the palm
乾いた笑いを浮かべながら言えば、天は顔色を変えることなく龍を見る。
天「いいんじゃない?例えそれが愛聖だとしても、思わず撃ち抜かれちゃった龍がいるんだし、龍は愛聖のこと好きだから」
おい・・・いまサラッと凄いこと聞いた気がする。
龍が・・・愛聖を、好き・・・だとか。
天「まぁ、愛聖の事を好きなのは龍だけじゃない。あの熱烈歓迎2人組だって、そうだしね」
「Re:valeは別問題だろ?!あの2人は愛聖と、」
『私がどうかした?』
「だから愛聖とRe:valeは・・・って、愛聖?!」
天と龍の間からひょっこり顔を出す愛聖に驚いて、唖然とする。
『いまステージから降りて来たら、楽たちの会話に私の名前があったから来てみたんだけど・・・あ、もしかして悪口とか?!』
「違ぇよ!天が、龍がお前のこと好きだとか言うから!」
龍「ちょ、ちょっと楽?!」
『私も龍の事は好きだから、同じ気持ちだね!』
天「だってさ?」
意味深にクスリと笑いながら俺を見る天に眉を寄せれば、愛聖が笑い出す。
『楽ってそういう顔すると、やっぱり八乙女社長にそっくりだね』
「似てねぇよ!つか、お前らも全力否定し・・・」
同意を求めるように天と龍を見れば、2人とも横を向いて笑いを堪えている。
クソッ・・・親父にそっくりだ?ふざけんな!
「佐伯 愛聖 !」
環「マリー、みっきーが早くしないと置いてくぞって言ってる」
そっくりだと言われ、だったら親父のマネをしてやると名前を呼ぶのと被って、アイドリッシュセブンのヤツが愛聖の肩に手を置いた。
『四葉さん、呼びに来てくれたんですか?』
環「だってマリーがなかなか来ないから。行こうぜ、ヤマさんも待ってんだろうから」
『二階堂さん、大丈夫かなぁ・・・あ、じゃあ私もう行くね?天も龍も楽も、またね?』
環「えっと・・・?あ、そか。失礼します」
バイバイと軽く手を振る逆の手を、呼びに来たヤツがすっぽりと包んで引いていく。
アイツ・・・わざわざ手を繋ぐ必要ねぇだろ!
そんな行き場のない苛立ちが、またも少しずつ蓄積されていくのを感じた。