第15章 shine of the palm
『う、ウソでしょ?!あの二階堂さんがそんな事を?!』
陸「本当だって!その話をして歩いてて、オレも頑張るぞー!って腕を振り上げたら資材にぶつかっちゃって・・・」
二階堂さん・・・なぜこんな時に二階堂さんらしくない事を思いついたりするんですか?!
だけど今は、私が二階堂さんの代わりにリハで立つんだから・・・や、やるしかない?!・・・よね。
『分かりました・・・やってみます・・・』
私がそう言うと、七瀬さんはホッとした顔をするけど。
私からしたら、複雑な心境だよ。
『まぁ・・・いっか?』
三「ん?なんか言ったか?」
『なんでもないです。すみませーん、こちらの準備はオッケーです!よろしくお願いします!』
あちこちに散らばっているスタッフさんに大きく手を振りながら言って、二階堂さん用のバミリの前に立ち、ゆっくりと深呼吸をする。
今日まで何度も、みんながレッスン場で練習してるのを見て来た。
自分のポジション移動の確認がしたいからって言われて、その本人たちと入れ替わった事だって、1度や2度じゃない。
って言っても、主に三月さんが多かったけど。
二階堂さんの場合は、お兄さん疲れたから代わって?だとか、なんかそんな理由ばっかりだったけどね。
「それでは音入ります!」
スタッフさんの声にみんなと顔を合わせて頷き合い、それぞれが曲入りの時のスタンスを取る。
私も二階堂さんのポーズに合わせて立てば、その視線の先に楽たちが見えた。
・・・なんでまだいるの?!
TRIGGERのリハはアイドリッシュセブンの前だったはずなのに!
楽や龍はともかく、天に見られてると思うと・・・なんか緊張するよ!
ヤバい・・・いまは余計な事は考えないようにしよう。
じゃないと、せっかくのこの場が台無しになっちゃう。
照明が1度落とされ、イントロの鳴り出しに合わせてスポットライトが1人ずつを照らして行く。
照明のインパクトに飲まれないように瞬きをして、私は二階堂さんになりきるべく、その1歩を踏み出した。