第15章 shine of the palm
「えぇっ?!揃ってないの?!困るなぁ、そういうの・・・」
三「申し訳ありません!1人はもうすぐ来ると思いますが、メンバーのひとりが・・・」
「全員でリハじゃなくていいってこと?それならそれで、構わないけど」
・・・なにを騒いでるんだ?
それに陸の姿が見えないし、あのリーダーの二階堂大和もいない。
龍「どうしたんだろうな、彼・・・リハに出れない程のケガだったのかな?」
楽「知らね」
さっきの愛聖の話だと、ケガをしたらしいって言うのは陸じゃなくて、二階堂大和だったはず。
じゃあ、どうして陸は来てないんだ。
ザワつくスタッフの様子に僕たちも足を止め、それを傍観していれば、通路からバタバタと足音が聞こえて来て、陸が愛聖の手を掴んたまま飛び込んで来る。
陸「遅れてすみません!」
『お、遅れて申し訳ありません!こちらの事情により、今のリハーサル・・・二階堂大和のポジションは、私が・・・佐伯 愛聖が代役で入ります!よろしくお願いします!』
愛聖が?
楽「なんだってアイツが代わりに入るんだ?」
龍「やっぱり、ケガしてリハに入れないとか?」
「さぁ?僕に聞かれても分からないよ。けど、愛聖が代役で入るんなら、見ていく価値はあるんじゃない?」
スタッフの邪魔にならないように3人で壁際に寄って、ステージへと上がり出す愛聖と陸を眺める。
楽が言うように、どんな理由で愛聖が代役としてリハに立つとしても。
ただポジション取りとして立ってるだけの飾りなら、例えリハだとしても必要ない。
それだけの役目なら、スタッフが立つだけの事。
なのに、愛聖がそこに入るって事は・・・きっと意味があるんだと思うから。
龍「ちょっ、何してるんだ愛聖?!あんな所でスカート持ち上げたりしたら・・・」
楽「見えるだろうな」
「見えるだろうね」
龍「2人とも、そんな冷静に見える見えるって言わなくても・・・」
突然スカートを持ち上げ始めた愛聖に龍がドキマギする。
「龍、いい加減にそういうの慣れなよ。愛聖だって何か考えがあるんだろうし?」
顔を逸らそうとする龍を肘で小突きながら、僕はまたステージに立つ愛聖に視線を戻した。