第15章 shine of the palm
一「骨や筋に問題があれば、場所的にも腕を動かす事が出来ないと思いますし、いま出来ることはとにかく冷やしてこれ以上腫れや鬱血を広げないことでしょう」
一織さんの説明に安心して、へなへなと二階堂さんに歩み寄り、膝をついてその体に腕を巻く。
『良かった・・・大ケガとかじゃなくて・・・ホントに』
大「ちょっとばかり痛かったけど、そんなに心配してくれるとはお兄さんも冥利につきますなぁ」
はいはい、と言わんばかりに私の背中をぽんぽんと叩く二階堂さんは、普段と変わらない物言いで。
大「ついでに言っちゃうと、オレ今上半身ハダカよ?いやぁ、参るねぇ・・・そんなにオレに飛び付きたかったとは」
『え?・・・あっ?!』
言われて自分の状態を再確認すれば、飛んでもない状態になっていてザッと体を離す。
大「あら?そんなに慌てて離れなくてもいいのに?」
・・・絶対ワザと言ってる。
ニヤリとしながら私を見る二階堂さんに複雑な顔を向けながら、それでも大事に至らなくて良かったですと、また伝える。
紡「ただ・・・この状態だと大和さんがリハに参加するのは控えた方がいいかと・・・」
『そうですね・・・二階堂さん、ぶっつけ本番でも行けますか?出来るだけ冷やしたりする時間は欲しいし、けど、みんなまでリハを飛ばすのは難しいので』
リハでポジション1人抜けるくらいなら、現場のスタッフだって慣れてるだろうし。
一「・・・仕方ありませんね。ここは佐伯さんの提案通り、二階堂さん抜きでリハーサルしましょう」
壮「そうだね。リハで無理して本番でステージに上がれないよりは、僕もその方がいいと思う」
一織さんや逢坂さんの言葉に、みんなが小さく頷く。
陸「でも・・・でも大和さんはさっき・・・」
大「ん?あー・・・いいよ、仕方ないし。これはオレの不注意でもるからさ」
陸「だけど!元々はオレが」
大「リク?大丈夫だから。リハでドジらないようにってことだけ、今は考えときなって」
陸「・・・はい」
そう七瀬さんが返事をしたのを見計らうように、スタッフがリハの順番が来るからと楽屋に迎えに来る。
「これからTRIGGERさんがリハするんで、アイドリッシュセブンの皆さんはその次になりますから、スタジオへどうぞ」