第15章 shine of the palm
カップに入ったコーヒーを飲み干し、ご馳走様でしたと龍に言ってからゴミ箱へと入れる。
紡さんからはまだ連絡はないけど、いい加減そろそろ戻らないと・・・
そう考えながら壁につけられた時計を見た。
『そろそろ私、戻らないと・・・っていうか、楽の用事はなんだったの?』
楽「別に。帰りたいなら、サッサとアイツらの所に帰れよ」
うわぁ・・・なんかさっきより不機嫌さが増してる・・・?
天「愛聖、楽のことは放って置いて平気。単なる我儘とヤキモチのコラボレーションだから」
龍「そうそう、楽は素直じゃないからね」
楽「っ、違ぇし!」
そんな3人のやり取りを笑いながら、じゃあ、ホントに戻るよ?と楽に言ったところで、ポケットの中のスマホが鳴り出した。
『あれ?四葉さんからだ・・・なんだろ?』
龍「急ぎの用事だといけないから、出たら?」
『じゃ、ちょっと失礼します・・・もしもし四葉さん?』
環 ー あっ!マリー出た!もしもし俺だけど!環だけど! ー
『四葉さんなのは、ちゃんと分かりますよ?どうしたんですか?そんなに慌てて』
尋常ではない様子の四葉さんに、何があったの?と聞けば、四葉さんは更に慌てて話し出す。
環 ー あのな!えっと!・・・り、りっくんが! ー
『七瀬さんがどうしたんですか?!』
もしかしたらまた発作が?!と思い、この場に天がいることも構わず話の続きを聞く。
環 ー だから!りっくんが下敷きになって!あーもぅ!なんて説明したらいいんだよ! ー
『お、落ち着いて下さい四葉さん!七瀬さんがケガをしたんですか?!』
環 ー そうじゃなくて!・・・あっ!そーちゃん!! ー
壮 ー もしもし愛聖さん?環くんだと上手く伝わらないみたいだから代わりに僕が説明するよ ー
四葉さんとはまるで違って、冷静に話し出す逢坂さんに私もお願いしますと答える。
壮 ー さっき陸くんと大和さんがみんなの飲み物を買いに自販機コーナーに2人で行ったんだ。その帰りに、陸くんがどこかの部屋の前に山積みにされた資材にぶつかってしまって、それを庇った大和さんが肩を打ったらしくて ー
『ケガをしたのは、七瀬さんじゃなくて二階堂さんなんですね? それで、いま二階堂さんは?』
本番直前にケガをしたと聞かされて、背筋に冷りとしたものが流れる。