第15章 shine of the palm
『詳しくは私も知らなかったんだけど、お礼の電話した時に・・・千から聞いた』
凄く楽しそうに話してくれたから、絶対なにか企んでるよね、アレは。
今度会った時が楽しみだ・・・とか言ってたし。
楽「知ってて、使ってんのかよ」
『いいじゃない別に。私がどんなのをつけてようと楽には関係ないでしょ?それに、なんで今日はそんなに私に絡むのよ。私だけじゃなくて、今日は七瀬さんにだって、本番前だって言うのにあんな事・・・』
なんのためにセンターにいるんだ?とか。
もし、楽が言ったことを七瀬さんが気にして落ち込んでたりしたら、と思うと気が気ではない。
楽「別に、それこそお前には関係ない話だろ」
ツンと言い放って、楽はまた不機嫌そうに窓の外へと顔を逸らす。
天「じゃあ、僕には関係あるかもね?」
『天?』
天「だってそうでしょ?その楽の定義に当て嵌めるなら、僕だってTRIGGERのセンターに立ってる。なら、楽の言う・・・なんのためにセンター立ってんだよ。そいつらをもっと、高いところに連れて行く為なんじゃないのか・・・ってのは、僕に対しても言える事でしょ」
不機嫌な楽と違ってすまし顔で淡々と同じセリフを言う天がおかしくて、2人を交互に見ては龍と顔を合わせて口元を押さえる。
だっていま笑ったら、怒られそうだもん。
天「僕は・・・行くよ。どんなにイバラの道があろうと、2人を高い所へ・・・連れて行く」
龍「カッコイイなぁ、天は」
そう言って返す龍も、さっきまでとは目の輝きが違う。
聞こえないふりをしてる楽だって、きっと龍と同じような目の輝きをしてるんだろうなと、思う。
『アイドリッシュセブンだって、きっといつかは・・・』
そんな言葉を小さく小さく呟きながら、私はまだ温かみがあるカップに口をつけた。