第15章 shine of the palm
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
「愛聖さん・・・天にぃたちとなに話してるのかな・・・」
楽屋のイスに座ったまま、壁の時計を見る。
三「だよな・・・お前はちょっと来い、とか言われて連れてかれちまったし」
三月が言う通り、あの時そんな風に言われて愛聖さんはTRIGGERの楽屋へと一緒に歩いて行った。
一「なにを話してるのかは分かりませんが、七瀬さんが空気を読まずに会話に割り込んだから怒られてる・・・なんて可能性はゼロではありませんがね」
「オレのせいで?!・・・でも、天にぃだっているんだし、そんな事はないかもじゃん」
だって天にぃは優しいから、もしオレのせいで愛聖さんが八乙女楽になんか言われそうになったら、きっと助けてくれるはずだよ。
そう一織に向けて言えば、一織はひとつ息を吐いてオレの向かい側に座った。
一「世間では現代の天使などと言われている九条さんですが、さっきの佐伯さんへの物言いを見れば、そうじゃない部分もあると言えるのが分からないんですか?・・・ブラコンも程々にどうぞ」
ブ、ブラコン?!
「それは一織だろ!いつもいつも三月に、」
大「はいストップ!イチもリクも、その辺にしなさいって」
オレの事をブラコンって言った一織に言い返そうと立ち上がれば、それまでマネージャーと話をしていた大和さんがパンっと手を叩いてオレたちの会話を止める。
大「リク、愛聖は別に意地悪なんかされてないぞ?ほら、思い出してみろって。ウチの事務所に来る前まではTRIGGERと同じトコにいて仲良しなんだから」
「それは、そうだけど・・・」
大「それからイチ。お前さんは分かりにくい心配をすんなって。ただでさえリクは鈍感だってのはイチがよく分かってるだろ?」
・・・オレ、鈍感なの?
大和さんの言葉に疑問もあるけど、それ以前にここに何しに来てると思ってんだ?と続けて言われて俯いた。
大「どうせさっきの八乙女のは、単なるヤキモチみたいなモンだとお兄さんは思うけど?少し前まで同じ事務所にいた愛聖が、その八乙女からリクを庇うように物を言ったって辺りが気に入らなかったんだろうよ」
ヤキモチ・・・あの人でも、そんな事を思ったりするんだ?
環「ヤキモチって、Re:valeと同じやつか?」