第15章 shine of the palm
楽「七瀬・・・だっけか?」
陸「は、はいっ!」
楽「お前、なんのためにセンター立ってんだよ。そいつらをもっと、高いところに連れて行く為なんじゃないのか」
陸「オレは・・・」
楽の言葉に俯いた七瀬さんが、ギュッと手を握りしめる。
『楽、本番前にそういうのやめてよ・・・』
七瀬さんを庇って背中に隠しながら言えば、それが気に入らなかったのか、楽はフン・・・と鼻を鳴らす。
楽「じゃあな。あぁ、そうだ愛聖・・・お前はちょっと来い」
『は?なんで私が?』
楽「つべこべ言わずに来い」
・・・はぁっ?!
『ちょっと楽!』
天「愛聖、諦めて。あんな風に言い出したら、楽はなに言っても聞かないから」
龍「アハハ・・・そうだね」
『だけど私は今日、サブマネの仕事があるのに』
龍「大丈夫。楽が暴れだしたら、オレがすぐ助け出してあげるから」
・・・暴れだしたらって、私なにされるの?!
紡「あの、愛聖さん。こちらは楽屋でリハの順番が来るまで待機するだけですし・・・その間は私だけでも大丈夫ですから」
天「ほら、彼女もそう言ってるんだし。早くしないと楽の不機嫌さが増すよ?」
そ、それはちょっと・・・嫌かも。
『はぁ・・・分かった。とりあえず一瞬だけ着いてく。龍・・・もしもがあったら、お願いします』
龍「オッケー」
龍はニコニコしながらオッケーとか言ってるけど、そうならないように楽が大人しくしててくれればいいだけなんだけどね。
『じゃあ紡さん・・・なるべく早く、とにかくダッシュで戻れるようにするから、あとはお願いします』
紡「はい、お任せ下さい」
紡さんらしい笑顔に自分も笑顔で返すけど・・・紡さん・・・本当はちょっと、引き止めて欲しかったりもするよ・・・
だってこの先には、不機嫌な楽と、怒らせるとお説教が長い天がいるんだからさ。
でもまぁ、天は怒ってないし楽がどれくらい不機嫌なのかは分からないからなんとも言えないけどね。
じゃ、後でとみんなにも手を振って、さりげなく、いつでも龍の背中を盾に出来るような場所取りをしながらついて行った。