第15章 shine of the palm
ナ「いつものライヴとは、違いますか?」
「「 全然違う! 」」
ナギさんの質問に声を揃えて答える2人に思わず笑ってしまう。
それもそのはず・・・だってそういう時の撮りって・・・
環「だって全然違うし。客席の半分以上は、他のアーティストのファンばっかだし」
・・・そうなんだよね。
これがRe:valeの・・・とかだったら、千や百ちゃんが上手いことMCで繋いでくれて、アイドリッシュセブンが変な緊張しないようにしてくれるのかもだけど。
今日は、Re:valeは他局の仕事があって、サウンドシップへの参加はないって聞いてるし。
その代わりという訳ではないけど、今日入ってるお客さんで1番ファンが多そうなのは・・・
陸「今日の出演アーティストで1番ファンが多いのって・・・」
一「それはもちろん、TRIGGERでしょうね」
・・・私も一織さんと同意見です。
私たちがここに到着した時、外で列をなしていたほとんどのお客さんがTRIGGER推しを示すグッズを持っていたし。
楽 愛してる!・・・とか。
天 こっち向いて!・・・とか。
龍之介 キスして!・・・とか。
なんかそういう感じのメッセージが書いてあるうちわとか、ね、
本来の龍にそんな事をダイレクトに言ったら、真っ赤になってオドオドしちゃいそうだけど。
ちなみに楽に言えばホントにされそうだし、天に言えば冷たい視線を送られそうだから、イタズラのターゲットはいつも龍になっちゃうんだけど。
でも・・・ちょっと面白いから今度試してみようかな?なんて、イタズラを考えてる場合じゃないよね。
サブマネの仕事しなきゃ!
『私なにか飲み物を買ってきますから、皆さんは先に楽屋に行ってて下さい』
一「あ、ちょっと佐伯さん!」
前を歩くメンバーを振り返りながら早足で追い越せば、先頭にいた一織さんが慌てた様子で呼び止める。
『一織さん、欲しいものでもあり・・・わっ?!・・・痛たた・・・』
一「・・・だから呼び止めたのに、あなたと言う人は・・・」
呼び止められながらも早足を緩めることなく進んでしまい、通路の角で出会い頭に人とぶつかってしまった。
『すみません!私ちょっとよそ見をしていて・・・あ、あの、お怪我はありませんか?!』
天「それは僕のセリフ。愛聖、ちゃんと前見て歩いて」