第15章 shine of the palm
紡「今日は宜しくお願い致します!」
「こちらこそ、宜しく。後でリハの順番が来る頃にスタッフ行かせるから、その時はまた宜しくね」
紡「はい!」
番組プロデューサーに深々と頭を下げる紡さんに並んで、私も同じように頭を下げる。
今日は、私は紡さんの補佐役だから。
紡「皆さん、時間が来るまで楽屋で待機しましょう」
一「他の出演者の方々への挨拶は済みましたが、TRIGGERへの挨拶はどうするんです?」
そう、そこね。
TRIGGERの楽屋へ・・・と考えていた時、プロデューサーさんから声を掛けられて、結果、まだ顔を合わせていない。
でも、さっきの時点ではまだ来てないって聞いたから。
『TRIGGERは後でも大丈夫です。さっきスタッフさんからまだ到着していないって聞きましたから、到着を聞いてからでも遅くはないと思います』
なので紡さんの言う通り楽屋で待機しましょうと促し、自らも後ろを着いていく。
陸「とうとうサウンドシップかぁ・・・緊張するなぁ」
通路を歩きながら七瀬さんが、ハァ・・・と息を吐いて両手を胸に当てるのを一織さんが見る。
一「センターなんだからシャキッとして下さい。それからプレッシャーをかける訳ではありませんが・・・ベストな状態でお願いします」
陸「充分プレッシャーじゃんか!」
そう言い返す七瀬さんに、失敗はリハだけにして下さいね?と一織さんが念を押した。
三「まぁさ?オレたちが成功したいってのはもちろんだけど、一織は自慢したいんだよ・・・陸が凄いやつだって事をさ?」
三月さんが七瀬さんの肩を軽く叩いて会話に混ざれば、七瀬さんはオレ頑張るから!と笑顔を向けた。
壮「陸くん、気持ちを楽にして?失敗なんてしてもいいし、カメラがある事なんて忘れたっていい。いつもの僕たちらしく、楽しくやろう」
陸「壮五さん・・・そうですね、オレたちらしく、楽しく歌って踊ります!」
さっきまでは緊張感に押し潰されそうな顔をしていた七瀬さんが元気になり、紡さんもホッとした様子を見せた。
大「そういやMEZZO"はこういうのやった事あるんだっけ?スタジオに客入れて、とかいうやつ」
環「デビューしたばっかの頃に何回かあるよ。なんか変な緊張とかもあった」
陸「え、環が緊張?!・・・ヤバい・・・またドキドキしてきた・・・」