第15章 shine of the palm
万「愛聖、せっかくだから肌に乗せてみたら?」
『ここで?』
万「メイク直しなら俺も手伝えるし、社長だってソワソワしてるし」
小「万理くん・・・それはキミもじゃないの?だってCMを見る事は叶わなくなっても、千くんの粋な計らいで僕たちはそれを見る事が出来るんだから」
そう言いながら社長は、万理のイスを私にスっと向けて、どうぞ?と笑顔を浮かべる。
万「じゃ、さっそくやってみよう。あ、ちょっと待って・・・どうせなら寮に戻って着替えともしちゃう?寮に戻れば手先が器用な壮五くんやナギくんもいるからヘアメイクも出来るし」
小「いいねぇ!そう言えば八乙女がキミにプレゼントしたドレスもあるじゃないか!場所はどうであれ、衣装チェンジもして写メっちゃおう!」
さすがにそこまで本格的にしなくても・・・と言いかけて、でもどうせなら千に使ってみたよというお礼を兼ねて連絡をしようと私も乗り気になる。
ただちょっと心配なのは、ノリに乗ったナギさんが・・・怪しげな衣装を持ち出してきたらどうしよう?とか、なんだけど。
前にここなちゃんのコスプレをした時に、他にもクローゼットの中に揃ってたような気もするし。
けど、もしそうなったらそれはそれで楽しんじゃえ!と気持ちを切り替えて手荷物を纏めてみる。
小「善は急げって感じで、早く行こう?」
万「ですね。じゃあ俺は急いで戸締りチェックをして来ますから、社長と愛聖は先に出てて下さい」
小「オッケー!さ、愛聖さん行こう」
ワクワクを隠しきれない社長に手を引かれ、事務所を後にする。
それにしても・・・社長も万理もワクワクし過ぎだよ。
そう思いつつも、どこが自分でもそれを楽しみたいと思う私もいて。
同じ歩幅で歩いてくれる社長に、ある意味カメレオン女優になれちゃいますね?なんて笑いかけながら、寮までの道を歩き出した。