第15章 shine of the palm
早くマネージャーを離してあげて!と言う逢坂さんに、ションボリ顔をしながら四葉さんが紡さんを解放した。
壮「大丈夫?環くんは時々、愛聖さんが帰るとこんな風にする事があって・・・その度に僕も注意はしてるんだけど・・・ほら、ちゃんと謝って環くん」
環「マネージャー、ごめん」
紡「いえ・・・ちょっと驚きましたけど、大丈夫です。環さんが愛聖さんを大好きなのは私も知ってますし。でも、そんなに私たち似てましたか?」
そう言われてみれば、私も紡さんと自分を見比べて見て。
『確かに今日は、似たような感じかも?』
ヘアスタイルそのものは違えど、軽く結い上げた髪に大きな開襟のブラウスに、カーディガン。
長めのフレアスカートに、と来れば間違えられても仕方ない感じで。
環「似てるけど、匂いは違った。マネージャーは美味しそうな匂いがした」
壮「美味しそうなって・・・環くん、ちょっと・・・それは・・・」
なぜか顔を赤くする逢坂さんに、多分その美味しそうな匂いってのはこれじゃない?と紡さんの持っていた紙袋の中身を見せる。
環「おー、これこれ!お菓子の匂いすると思った・・・これ食っていい?」
壮「環くん・・・」
さっきの騒ぎをコロッと忘れてしまっているかの四葉さんの物言いにガックリとする逢坂さんを宥めながらリビングへと歩き出す。
三「お帰り2人とも。なんかスゲー騒いでたけど、なんかあったのか?」
エプロン姿でキッチンに立つ三月さんに事の詳細を話せば、それを聞いたみんなも四葉さんに次からは気をつけろよ?と笑った。
ただ、社長はいつものように複雑な顔をしてたけど。
それはきっと、紡さんのお父さんでもあるからなのかな?なんて、勝手に自己解決しておいた。
万「まぁ、今日は2人とも同じような格好だし、そもそも背格好も似てるし仕方ないよ」
三月さんと同じようにエプロンを付けてキッチンにいた万理も、私がさっき思った事と同じことを話す。
『っていうか、なんで万理がエプロンしてそこにいるの?有能事務員の仕事は?』
万「有能事務員だから、残業することなく終わったんだよ。ね、社長?」
小「そうそう。それで今日はお祝いご飯でもみんなで食べようかって万理くんと話して、準備して貰ってたところだよ」
お祝いご飯?
今日は誰かの誕生日・・・でもないし。