第15章 shine of the palm
紡さんと局からタクシーに乗り、途中渋滞に巻き込まれながらも無事に寮へと着く。
『なんだか・・・精神的に疲労が』
TRIGGERでの楽屋の事を思い返しながら笑えば、紡さんも同じように笑う。
紡「社長も大和さんも、私たちより少し先に戻っているようなので帰りにミスター下岡さんから頂いたお菓子でひと息つきましょうか」
『そうだね。下岡さん、わざわざ楽屋まで来てくれてお菓子をお裾分けしてくれたから』
持たされた大きな紙袋の中には、下岡さん宛に届けられた有名店のマドレーヌやクッキーが食べきれないほど詰めてあって。
こんなにたくさんいいんですか?って聞いたら、たまたま今日は来客が多くてね~!良かったら食べてよ!なんてウインクを飛ばしながら豪快に笑っていた。
『そう言えば下岡さん、アイドリッシュセブンにバラエティ番組どうかな?って言ってたよね。もしかしたら下岡さんの事だから、既に社長に連絡とかくれてるかも』
紡「でも、お話を伺ったばかりですし。まだ提案くらいだとしたら、皆さんにお話するのは早いかと思うんです・・・」
『大丈夫じゃない?だって私がミューフェスのアシスタントしないか?って言うのも、決定より先に事務所に電話くれたくらいだし。取り敢えず、まずは社長に報告したらいいんじゃない?お茶しながらでも』
紙袋をツンとつついて玄関のドアを開け、手荷物が多い紡さんを先に入れドアを閉めた。
『ただいまー!』
リビングへと届くように大きな声で言って、靴を脱いでいるとドタバタと大きな足音が聞こえて来て、それから・・・この感じだと、四葉さんかな。
四葉さんだとしたら、きっとこういう時は飛び付くようにギューってハグしてくるんだよね。
大きな体の四葉さんが飛びついて来てもいいように背中を向けたまま靴を揃えていた。
環「お帰りマリー!ヤバイ!大ニュース!!」
紡「きゃっ?!」
ほら、やっぱり四葉さんだった・・・ん?あれ?!
紡さんの、悲鳴??
声はするものの一向に衝撃が来ないのを感じて振り向けば、そこに見えたのは紡さんをギューっと抱きしめる四葉さんで。
壮「環くん!廊下を走ったら危な・・・えっ?!」
環「あれ?なんでマネージャ?・・・マリーだと思ったのに違った」
壮「女性に急に抱き着いたりしたらダメだっていつも言ってるだろ!」