第15章 shine of the palm
楽「いつまで拗ねてんだよ、お前」
『うるさい』
天に抱えられてソファーまで運ばれた後、汚れてしまった足を拭くからと龍に膝をつかれて。
さすがにそれは!と、自分でできるから!と何も考えずに行動に出た・・・までは良かったんだけど。
いま着てる衣装が、フレアスカートで。
ソファーに座ったまま片足を持ち上げると、その裾はなんの抵抗もなくスルリと捲れて・・・
楽「気にすんなって。そんな色気もへったくれもないヤツ見せられたからって、誰も欲情しないっての。そんなの気にするなら、もっと赤や黒や・・・紫とか、なんかそういうエロいの履いとけって話だろ」
龍「赤や・・・黒・・・」
まさかの事態を真正面から遭遇してしまった龍が、その時を思い出すかのように顔を手のひらで覆っていた。
『龍はそこで過敏に反応しなくていいからね・・・』
あからさまに挙動不審になる龍に言って、今日は仕事よりもこの3人に囲まれてる方が精神的に疲れた気がする・・・と項垂れる。
天「ふ~ん?楽は、そういうのが好みなんだね」
楽「例えばの話だろ!だいたい天、お前はどうなんだよ」
天「ボク?別に愛聖のがどうであれ、興味無い」
・・・そうですか。
なんて言ってる場合じゃない!!
『ちょっと!もうその話は終わり!・・・紡さん、楽屋に戻りましょう。それから姉鷺さん、1度戻ったらお借りしてる靴を返しにだけまたお伺いしますね』
つま先に引っ掛けただけのような姉鷺さんの靴をぷらぷらとさせて見せてから、深々と腰掛けていたソファーから立ち上がる。
『っととと・・・あ、ごめん天』
ブカブカの靴に足を取られて、立ち上がった瞬間にふらついた私を隣に座っていた天が支えてくれる。
天「ちょっと・・・そんな所でコケたりしたら、パンチラどころか丸見えになるでしょ。それとも、見せたいの?」
そんな訳あるかー!!と言いたいところだけど、口じゃ天には敵わない事が分かってるからグッと飲み込む。
『あのさ?ひとつ言っておくけど。楽も天も、女の子にはもうちょっとソフトな物言いをしてくれても良くない?』
楽「なんで龍には言わないんだよ」
『だって龍はいつも優しいもん』
天「女の子・・・あぁ、彼女のこと?」
『ちょっと天、私は?!』
まるでコントの様なやり取りに、遂には紡さんが笑い出す。