第15章 shine of the palm
ため息混じりの返事をして、愛聖に先読みされるだなんて・・・と苦笑を浮かべる。
「全く・・・モモも愛聖も、僕の取説を作ってくれちゃって」
それじゃまるで、万みたいじゃないか。
岡「僕も、僕の出来る限りの事はお手伝いします。だからここは、佐伯さんの笑顔の為に頑張りましょう」
百「だね!・・・ほら、ユキも!」
ほらほら!と僕の肩を叩くモモに笑いかけて。
「そうね・・・」
・・・と、いつも通りの言葉を返した。
岡「それでは、やる気スイッチを全開にして収録2本目の準備をお願いしますね?取り敢えず百くんは、お願いですから・・・ズボン履いてください。そのままスタジオに出向いたら、黄色い声どころか大変な騒ぎになりますから」
百「おわっ?!忘れてた!!」
おかりんの指摘に慌てて着替えの続きをするモモを見ながら、鞄からスマホを出してサイトを開く。
さっきの愛聖のルージュは、ちょっと赤すぎるから・・・と、愛聖が出るはずだった化粧品メーカーのページへと移動して指先を走らせる。
表示されるいくつかの商品を確認してはカートに入れ、ラッピングサービスも付けて、うさぎのおじさんの会社へと届くように打ち込んだ。
「これで、よし」
届いたら、愛聖はどんな顔をするだろうか。
それから。
僕から送られたルージュの意味を知ったら、それはそれでどんな顔をするだろうか。
「お楽しみは、もう少し後だけどね」
思わず出た言葉に、クスクスと笑って肩を竦める。
百「ユキ?なんか楽しそう」
「そうね・・・でも、モモには内緒だよ」
百「えーっ!なにそれズルい!教えてよ!!」
「ダーメ。僕の楽しみだから」
ズルいズルい!と連呼するモモに笑いながら、僕もスタジオへと向かうためにハンガーから外したジャケットを羽織っておかりんの後に続いて楽屋を後にした。