第15章 shine of the palm
❁❁❁ 千side ❁❁❁
百「なぁユキ?さっきの収録の時、スタジオの奥にTRIGGERの楽いなかった?」
「さぁ?どうだったかな」
2つ目の収録のために衣装を着替えながら言うモモに、そんな返事を返して微笑む。
百「ユキが気付かなかったんなら、違うのかな?でも確かにいたと思うんだけど」
「そんなことより、モモ?いつまでもパンイチでウロウロしてるとおかりんに怒られるんじゃない?」
壁に掛けられた時計を指さして笑えば、モモは慌ててハンガーから衣装をもぎ取った。
さっき、楽くんがいたのは知ってる。
収録中の僕たちを食い入るように見てたからね。
いや、僕たちと言うよりは愛聖を見に来てたんだろうけど。
だからこそ、あの時。
僕はチラリと視線を投げて彼を牽制したんだけど。
ここは、僕たちの庭だよ?って。
まるでプロポーズだと言って笑う愛聖に、遠目から見てもハッキリと分かるくらいの不機嫌な表情は、ホント・・・八乙女パパにそっくりだ。
だけど、パパさんと違って・・・
「彼は分かりやすい」
百「え?なんか言った?」
「別に、なんにも」
無意識に声に出してしまった言葉がモモに届いてしまい、曖昧な笑みを見せた。
百「そう言えばさ、ユキ。制作スタッフから聞いたんだけど・・・マリーがやるハズだった例のCM、代役決まったって」
「そう・・・それで、愛聖の代わりに誰になったの?」
百「それがさ・・・奏音、だって」
モモの口から出た名前に、ドクンとひとつ胸の奥で音が鳴る。
百「オレもなんで彼女が?って思ったら突っ込んで聞いたら、他に決まってた女優やモデルさんが次々に週刊誌にスッパ抜かれたりして企業側がイメージダウンを避けて、敢えて新人のって選んだって。Re:valeとも前に共演してるし、相性いいんじゃないか?とか」
相性?
そんなの・・・あるわけないだろ。
「モモ、その仕事降りよう。今からでもおかりんに土下座して貰えば何とかなるんじゃない」
百「えっ?!ちょっ、なに言ってるのユキ!落ち着いて?!そんなの出来るわけないじゃん!」
「じゃあどうすればいい?少なくとも僕は、あの女と共演なんて御免だ」
大人気ないことを言っている自覚は勿論ある。
百「それはオレだって同じだよ!」
「だったら!!」