第15章 shine of the palm
姉「お待ちなさい。はいそうですかって、そんな格好のままアンタを帰すワケないでしょ?取り敢えずそっちの楽屋に戻るまでの靴はアタシの予備の靴を貸してあげるから」
『お気持ちはありがたいんですけど、姉鷺さんのだとサイズが凄く大き、』
姉「サイズが、なに?」
『有難くお借りします、はい・・・』
スリッパ借りるより、大きいサイズの靴・・・転ばないかな・・・
姉「そうと決まれば・・・そうね、龍ちょっと来て」
龍「あ、はい」
なんで龍が呼ばれたの???
姉「アタシは靴を用意するから、その間に愛聖は足をキレイにしときなさい?で、龍はそっちのソファーまで愛聖を運んでちょうだい」
『あぁ、なるほど・・・って、えぇっ?!だ、だだだ大丈夫!自分で行けるから!』
姉「何言ってんの!いい?女の子はね、そんな素足でペタペタ歩き回ったりしないの!龍、サッサと運んじゃいなさい」
全くもう・・・と腕を組む姉鷺さんに、龍が笑いながら返事をして私へと腕を伸ばす。
『龍、ホントに大丈夫だから!すぐそこまでだし、ここまで歩いちゃってるし、平・・・気・・・あ、あれ?』
龍から距離を取りながら少しずつ移動してたはずの目線が、急にふわりとした浮遊感と共に・・・上がる。
天「ごちゃごちゃうるさいよ、愛聖。いい加減に観念したら?」
至近距離から聞こえてくる天の声にゾクリとしながら目線を動かせば、目の前には天の顔が・・・
『う、わぁっ!て、天?!降ろして?!』
天「ちょっと!暴れたら降ろすも何も落ちるけど?」
『こんな、みんないる所でお姫様抱っことかムリ!』
天「は?じゃあ愛聖は担がれたかったの?変わった嗜好だね」
『違うから!龍も笑ってないで何とかして!』
ジタバタとする私に、うるさいよ?と一瞥をくれながら天はスタスタと歩き出す。
天「ほら、ちゃんと捕まってないと本当に落ちるよ」
わざとフワッと揺する天に思わずギュッとしがみつけば、最初からそうすればいいのに、とため息をつかれ、呆気なくソファーへと運ばれてしまった。