第15章 shine of the palm
「けど、龍。もし本当に愛聖が妹だったとしたら、お前はあんなエロエロシーンとか出来んのか?」
龍「だ、だから、例えばの話だろ?それに女の子がいるのにそういう言い方は・・・ダメ、だろ」
「なんで龍が照れるんだよ!エロエロビーストってのはお前の通り名だろうが」
仕事上の龍のキャラは、イケイケでエロエロってイメージで売り出してる。
けど実際の龍はその真逆だからな。
紡「えっと・・・と、TRIGGERの皆さんと愛聖さんが共演されたCM、とても素敵でした・・・」
龍「アハハ・・・ありがとう」
なに気を使わせてんだよ!
って、エロエロを振ったのは俺か。
天「ねぇ、キミにちょっと聞きたい事があるんだけど」
ずっと黙っていた天が、向かい側のソファーに腰を下ろして口を開く。
天「なんで新曲出さなかったの?」
紡「は、はいっ?!」
天「だから、デビューシングルの事。既存曲をデビューシングルにしてたでしょ?・・・どうして新曲を出さなかったの?」
紡「それは、その・・・ちょっとした事情がありまして・・・」
天「事情って?」
言いにくそうにモゴモゴとし始めるのを正面から見据えながらも、天はその答えを追求する。
紡「それは・・・弊社の内部事情に関わる事ですので、ここでお話する事はちょっと・・・」
天「・・・へぇ、そう」
なんだ、天のやつ。
まるで何かを知っているかのような口振りだな。
それきり天は、また口を閉ざして何かを考え始めた。
龍「そう言えば最近忙しそうだね、あの子たち」
場の空気を変えようとした龍が突然別の角度から話を振る。
龍「活躍、楽しみにしてます」
紡「はい!ありがとうございます」
龍「あ、クリームついちゃってる。あぁ、違う違う、そっちじゃない・・・取ってあげる。天、ティッシュ取ってくれる?」
龍の言葉に動いた天がそれを差し出し、龍が口元を押さえる。
紡「すみません・・・何から何まで・・・」
顔を真っ赤にしながら小さくなるのを笑えば、ドアの外が騒がしいことに気付く。
姉「いいからちょっといらっしゃい!」
『いや、でも・・・』
この声は姉鷺と・・・愛聖か?
おもむろに開け放たれたドアを見て天が立ち上がり、迎え入れようとして眉を寄せた。
天「いったい何の騒ぎ?」