第15章 shine of the palm
天「ボクたちはビジネスパートナーであってお友達じゃない。だから、プライベートの事まで君たちに話すつもりもない」
眉ひとつ動かさずに淡々と言う天に、思わず掴みかかる。
「っ・・・コイツ!」
龍「やめろって2人とも!」
咄嗟に止め入った龍が俺たちを引き剥がし間に体を滑り込ませると、パタパタと足音が近付いて来てドアをノックする。
龍「・・・はい、どうぞ?」
紡「あの、すみませんっ・・・失礼します・・・」
カチャリと遠慮がちにドアが開かれ姿を見せた人間は、見知った相手で。
「お前は・・・」
龍「楽、知ってるの?」
「あぁ。アイドリッシュセブンのマネージャーだ。たまにだけど、愛聖の同行もしてるよな?」
紡「あ、はい!」
今日はアイドリッシュセブンはこの局には来てないんだから、愛聖の同行者として来てるってことか。
でもその同行者が、なんでここに?
紡「あの・・・ミュージックフェスタの出演が、八乙女さんのご推薦があっての事だとお伺いしました。この度はちゃんとご挨拶も出来ず、申し訳ありませんでした」
緊張してなのか、やや早口で言い終わると同時に思い切り頭を下げてみせる。
天「ご推薦、て。楽、そうなの?」
「さぁ?知らねぇ」
確かにアイツらをどうかって言ったのは俺だけど、そんなの別にどうって事はない。
俺が無理強いして、ねじこんだわけじゃないんだから。
紡「え、でも・・・」
あくまでも知らないと言い通す俺に、この場をどうしたらいいのか迷っている様子を見せる小さな肩に手を乗せて、グッと近寄る。
「それよりあんた、ケーキ食ってけよ。残すと天が怒るからな」
紡「えっと、ケーキ・・・ですか?」
龍「楽、無理に勧めたらかわいそうだよ?」
肩に乗せた手を外すように龍が俺の手に触れて、彼女の顔をチラリと見た。
「無理じゃねぇよ。女は甘い物が好きだろ?・・・な?」
返答に困り曖昧な笑顔を浮かべ出す背中に腕を回して、その体を軽く押しながらソファーへと促せば、それを見た龍がケーキを切り分けて彼女へと差し出した。
紡「あの・・・い、いただきます」
龍「どうぞ。あ、せっかくだからコーヒーも入れるよ。砂糖とミルクは入れる?」
ニコニコとして世話を焼き出す龍に、甘いモン食ってるんだから砂糖はいらねぇだろ?と軽く言ってみる。