第15章 shine of the palm
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
Re:valeが収録をしている番組のゲストが愛聖だと知って、暇潰しに覗きに行ったのはいいけど。
なんなんだよ、あのトークは。
なんかこう、ピンクの花びらがひらひら飛び交うようなラブラブパワー全開みたいな!
Re:valeが日頃から愛聖をそうやって構うのは知ってるけど。
108本の薔薇の花束?
プロポーズ?
なんだよそれ!
さらに言えば、その時の千さんは・・・意味ありげに俺をチラッと見やがった!
なんの宣戦布告のつもりだよ。
クソッ・・・なんで俺はこんなにイライラしてんだよ・・・
そう言えば・・・と、トークの内容を思い返す。
アイツ・・・曲出すとか言ってたよな。
作詞をした、とかも。
この際、メロディをつけたのはあの人だってのは別にいい。
けど、俺は・・・そんなの何も聞いてねぇよ。
アイツがまだウチの事務所にいる時にも何曲かは出てたけど、そん時はあの映画の曲以外は事務所で抱えてる作曲家達が親父にこぞって売り込みに来てて。
けど、どうして今度は・・・Re:valeと?
いや、別にTRIGGERとコラボるなんて考えはねぇけど・・・
どんな、曲なんだろう・・・とか。
あの人が作る曲だから、それこそキレッキレのヤツか・・・それとも、バラード調なのか。
バラード、だったら・・・アイツは誰を想って・・・いや、いい。
なんでアイツの事になると、こんなにもやきもきしてんだよ俺は。
乾いた笑いを漏らしながらサッと髪を掻き上げる。
ま、いいさ。
いまは昔馴染みの仲だとしても、そのうち俺のカッコ良さが分かる時が来るってもんだろ。
なんて言ったら、ギャアギャアうるさいんだろうけど。
またも乾いた笑いを漏らしながら、TRIGGERに用意された楽屋のドアを開け中に入れば、さっきまではなかったハズの仰々しいケーキがテーブルに置かれていた。
「なんだこのケーキは」
後ろ手でドアを閉めながら言えば、それまでスマホを弄っていた龍が顔を上げた。
龍「レコード会社さんから、お祝いのケーキだって」
へぇ・・・お祝い、ねぇ。
それにしてもこれ、俺ら3人にって大き過ぎるだろ。
ケーキ・・・こんなデカいケーキ見たら、アイツ喜ぶんだろうな。
「なぁ、イチゴだけ食っていいか?」