第14章 心の行方
❁❁❁ 一織side ❁❁❁
逢坂さんの部屋に佐伯さんをひとり残し、揃ってリビングへと戻る。
本来であれば、男性の部屋に女性を1人だけ残して立ち去るだなんて、有り得ないんですが・・・
そう思いながら、何気なくリビングのドアへと目を向ければ、たまたま視線の方向に立っていた二階堂さんと目が合ってしまう。
大「イチ、どうかしたのか?」
「いえ・・・佐伯さんを、逢坂さんと言えど男性の部屋に残して来てしまったことが気になっただけです」
三「あー・・・まぁ、そうだけどな。壮五は別に、どっかの誰かみたいにイキナリ襲いかかるとかの心配はいらないだろ」
笑いながら兄さんが、六弥さんを見て言う。
ナ「ミツキ?ワタシはいつもジェントルです・・・女性の許可なく触れたりはしてませんよ?」
三「どの口が言ってんだよ、おい!お前はいつも愛聖を見つけるとハグだのキスだのセクハラしてんだろうが!」
ナ「NO!ミツキそれは誤解デス!あれはセクハラではありません!ワタシからマリーへの・・・愛ある挨拶デス」
三「キメ顔で言ってもギリセクハラだろうが!だいたい愛聖の悲鳴が聞こえるとナギがそれやってんだろ!」
・・・なるほど。
あのスキンシップのオンパレードは、佐伯さんにのみ大いに働くということですか。
大「最近はその愛聖もナギのスキンシップに慣れて、ここへ来たばかりの頃に比べたら悲鳴を上げる事は少ないけどな。オレはどっちかって言えば、ナギよりタマの方が愛聖にベッタベタに甘えてる気もするけど?」
環「俺?だって俺、マリーのこと好きだし。マリーもいつでも甘えていいって言ってんし」
確かに二階堂さんの言うように、四葉さんは佐伯さんがいる時は側にいる気はしますが。
事情を知らない他人が見たら、それはどう見えるんでしょうか・・・と言った感じですね。
大きな体をした四葉さんが、いささか小柄にも見える佐伯さんに背後からベッタリだなんて。
大「それはそうとして・・・まさかFSCの御曹司だったとは・・・」
壁に背を預けた二階堂さんが、さっき聞いた話を思い出すように口を開く。