第14章 心の行方
陸「CMでよく見るよね・・・FSC系列の。凄いなぁ、壮五さん」
「そうですね・・・CMの数だけ、逢坂さんのお父さんの影響を受ける番組があるということです。どれだけ私たちが広報戦略を練ったとしても、背後にある大企業に動かれてしまえば、簡単に叩かれてしまう」
今回の私たちが掴みかけた番組の背後にも、FSCが潜んでいたと言うことですね。
そしてその影響を丸かぶりしてしまった、佐伯さんもいる。
環「俺は、頑張る」
どうしたものかと小さく息を吐いたところで、四葉さんが重い口を開いた。
環「どんなに俺たちがアイドリッシュセブンでやってくのが大変かもだけど・・・俺、やっとそーちゃんと本物のコンビになれた気がするから・・・」
三「あはは!そりゃ良かったじゃねぇか・・・環がそう思うなら、壮五も胃に穴を開けた甲斐があったってもんだ」
ナ「YES・・・ソウゴのSOS、やっと聞けました」
これからは、逢坂さんひとりに四葉さんを任せっきりにならないようにしなければ・・・
そうすれば、いろいろな事が分散されて逢坂さんも誰かにより相談しやすくなる。
陸「大きな力に負けない、ゼロみたいなスーパースター、か・・・そこに辿り着く前に、先に・・・」
言いながら七瀬さんがテレビへと視線を流せば、そこにはTRIGGERのライヴDVD発売決定を大きく映すCMが流れ出していた。
「追いつきたいですね・・・あの人たちに」
ナ「ワタシたちの、大事な曲でしたのに・・・」
三「盗まれた曲の借りは、きっちり返してやらないとな」
兄さんの言葉にみんなで頷いた時、リビングのドアが開き佐伯さんが姿を見せた。
『あっ・・・ごめんなさい、なにか話し合いでも?』
微妙な空気感を読んだのか、佐伯さんがサッとみんなの顔を見る。
陸「大丈夫!たまたまTRIGGERのCMが流れてたから、盗られた曲の分を頑張ろって話してただけだよ」
『TRIGGER、の・・・』
七瀬さんの言葉を聞いた佐伯さんが、表情を少し曇らせる。
「はぁ・・・やっぱり七瀬さんは空気の読めない人ですね」
陸「なんでだよ!本当のことを言っただけじゃんか!」
「まだ、分かりませんか?」