第14章 心の行方
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
みんなに全てを打ち明けたあと、僕の部屋に残った愛聖さんから教えられた話は、胸が痛くなる内容だった。
『でも、もう大丈夫です。今日はちょっとだけ取り乱しちゃったけど、そんないろんな過去を含めて・・・もっと成長しなきゃって思うから。じゃないと、母さんに叱られちゃうかなって』
まだ腫れぼったい目を細めながら、愛聖さんが笑って見せる。
「強いね・・・愛聖さんは」
『女の子に強いとか・・・』
「え、あ、そうじゃなくて」
『な~んてね?本当はちゃんと、逢坂さんが言ってること分かってるつもりです。でも、強い訳じゃないんです。気持ちを切り替えて、顔を上げて前を見るだけ・・・です』
そういう風に思える事が、強いんじゃないかなって僕は思うんだけど。
『以上が私の、報告であります』
笑いながら僕に敬礼を向ける愛聖さんに、思わず笑ってしまう。
『私には、父さんも母さんもいまはいないけど、代わりに小鳥遊社長がたくさんの家族をくれました。アイドリッシュセブンの皆さんと、紡さんと、それから社長に、万理に・・・他にも事務所のスタッフさんも。だから寂しくないです』
「えっと・・・Re:valeの千さんとか百さんは?」
家族枠には出て来なかった人を上げれば、愛聖さんは少し考えてから僕を真っ直ぐに見る。
『百ちゃんはともかくとして、千の場合は・・・う~ん・・・きっと本人に言わせたらとんでもない答えが帰ってきそうだけど家族とはちょっと違う感覚かなぁ。そういう感じで行くとTRIGGERのみんなも同じかな?龍は自分を私のお兄さんだと思って甘えてくれていいからね?とか、よく言われるけど』
「そう考えると愛聖さんの周りって凄い人達がたくさんいるよね。TRIGGERやRe:valeのメンバーをお互いに呼び捨てして肩を叩き合う仲っていうか、どっちのグループも僕から見れば大先輩だから羨ましいよ」
僕が言えば、愛聖さんは、そう?なんて笑いながら、付き合い自体は長いから自然とそうなっちゃうのかも?と、また笑った。
『あ、そうだ・・・逢坂さん、そろそろお休みになった方がいいんじゃないですか?入院は免れたと言っても、倒れた事には変わらないし』