第14章 心の行方
壮「叔父のお葬式でみんなが・・・ほら、やっぱり・・・って言ってるのが、とても辛かったよ。ほらやっぱり、音楽なんて保証のないものに夢中になるからこうなった・・・ほらやっぱり、おかしな夢を追いかけないで堅実に生きていれば幸せだったのに、って。だけど僕は・・・」
環「そんなことないって、言いたかった?」
四葉さんの言葉に、逢坂さんが今度は首を縦に振る。
壮「そんなことない、叔父は幸せだった。叔父は素敵な人生を送っていた・・・大声でみんなに、そう言いたくて・・・この世界に飛び込んだんだ・・・」
誰かに背中を後押しされる訳でもなく。
むしろ、反対されて家を飛び出してまで掴んだチャンスを、その家の人の力で奪い取られるだなんて・・・
環「・・・そっか。あんた、やっと自分の事を話してくれた」
逢坂さんの叔父さんの話が終わった時、四葉さんは表情を柔らかくして逢坂さんを見た。
壮「辛気臭い話だから、聞きたくないだろうと思って今まで誰にも話さなかったんだ」
ナ「NO!ワタシ、感動しました・・・オジさんもソウゴも間違っていません。ミュージック、ダンス・・・それは人を幸せにする素敵な魔法です。オジさんの気持ち、ソウゴは受け継いでマス・・・心が暖まる、素敵なストーリーです」
微笑みを浮かべながら言うナギさんに、逢坂さんは少しホッとした表情を浮かべながら、ありがとうと告げた。
壮「だけど、ボクがここにいる限り同じような事が何度も起きるかも知れない。FSCのグループ会社は幾つもあって、テレビやネット、新聞から雑誌までいろいろなスポンサーになってる・・・愛聖さん・・・」
『あ、はい』
話の途中で急に名前を呼ばれ、慌ててナギさんの横から顔を見せた。
壮「愛聖さんも、決まってたCMの仕事・・・ダメになったって今日の番組のプロデューサーから聞かされて・・・本当に、ごめん。僕なんかがどれだけ謝ったって結果は変わらないし、許して貰えるとは思ってないけど・・・」
『逢坂さん・・・そこはもう、大丈夫ですから。許すとか許さないとか、私はもう気にしてません。また頑張ればいいって、思ってるから』
壮「だけどスポンサーのひと声で降板させられてしまうのだったら、僕はここにいない方がいいと思うんだ。アイドリッシュセブンの為にも・・・愛聖さんの為にも」